エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン『エリス&トム(ばらに降る雨)』
今月はアントニオ・カルロス・ジョビンの参加アルバムを紹介しています。
いきなり本題からズレるが、ボサ・ノヴァのCDはショップではジャズとブラジル音楽のコーナーの両方に置いてある。そしてそれらはダブっていない。
どうやって分けているかというとレーベルである。VerveやCTIはジャズに、Philipsなどはブラジルのコーナーにある。レーベルのカラーはあるが、どこでもジョビンはジョビンであるし、ボサ・ノヴァはジャズのいちジャンルというわけではない。というわけでジャズ・ファンにはボサ・ノヴァ・ヴォーカル=アストラッド・ジルベルトが定番だが、ボサ・ノヴァ全体でみると決してそうではない。
『エリス&トム』は歌姫エリス・レジーナのジョビンとの共演盤。「コルコヴァード」★や「フォトグラフ」などジャズ・ファンにもおなじみの曲も含む、全曲がジョビンの作品だ。いわゆるジャズマンは参加していないが(つまりブラジル音楽としてのボサ・ノヴァ)、ジャズ・ファンならもちろん楽しめるので、アストラッドを聴き過ぎたアナタには強くお薦めしたい。なお、「トム」はジョビンの愛称でブラジルではトム・ジョビンと呼ばれる。
『エリス&トム(ばらに降る雨)』1974年録音(ユニバーサル)