ウェス・モンゴメリー『インクレディブル・ジャズ・ギター』
*今月はトミー・フラナガン(ピアノ)参加アルバムを特集します
トミー・フラナガンの参加アルバムを追いかけて行くと、「歴史的名盤」と呼ばれているものが次々と出てくる。野球の打率のように、参加作品の「名盤率」というものがあったなら、フラナガンは最上位に位置することは間違いない。
このウェス・モンゴメリーのアルバムも「名盤」として聴き継がれているもの。ここでのフラナガンの参加の経緯は、プロデューサーの述懐によれば「当時はもちろん大家ではなかったが、すでに重要な演奏者だったフラナガンにアルバム参加の話を持って行った」(『コンプリート・リヴァーサイド・レコーディングス』解説より/ビクターエンタテインメント)とある。モンゴメリーも当時は大家どころか、(1枚目の録音から3か月と経っていない)これが2枚目のアルバムというまだまだ新人である。と考えると、プロデューサーは「名盤請負人」としてフラナガンを連れてきたのだ。かくしてその狙いはあたり、フラナガンはここでもサイドマンとしての立ち位置をわきまえた絶妙のサポートで、すばらしいアルバム作りに貢献した。特に冒頭の「エアジン」★ではバッキングもソロもフラナガンらしさがよく出たすばらしい演奏だ。新人ウェスの「インクレディブル」なプレイばかりに耳を奪われがちだが。
★名曲の項もご覧ください。
『インクレディブル・ジャズ・ギター/ウェス・モンゴメリー』1960年(Riverside/ビクターエンタテインメント)