アントニオ・カルロス・ジョビン『イパネマの娘』
今月はアントニオ・カルロス・ジョビンの参加アルバムを紹介しています。
「イパネマの娘」がヒットしたことにより、ボサ・ノヴァが広まり、当然ジョビンにも注目が集まった。そこで録音されたのがこのアルバム。
『イパネマの娘』は日本の題名で、原題は『The Composer Of Desafinado,Plays』、つまり「デサフィナード」の作曲家が自らプレイする、である。 ヒット曲「イパネマ」ではないのにはいくつか理由が考えられるが、アルバムの作り手としてはジョビンを「ボサ・ノヴァの家元作曲家」として印象付けたかったのだろう。というのは「デサフィナード」★は「イパネマ」よりずっと前の、最初のボサ・ノヴァ(1958年発表)の1曲であるからだ。
内容はジョビンのピアノとギターをフィーチャーしたオーケストラ・サウンド。クラウス・オガーマンの編曲がすばらしく、また音数の少ないジョビンのピアノも実にユニークで、ボサ・ノヴァの新しい表現方法のひとつがここで「発明」されたといってもよい。収録曲もボサ・ノヴァ・スタンダードといえる名曲ばかり。
『イパネマの娘/アントニオ・カルロス・ジョビン』1963年録音(ユニバーサル)