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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2005-10-26

『クッキン/マイルス・デイヴィス』

マイルス・デイヴィス(トランペット)は、55年にジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、レッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)とのクインテットを結成した。このグループの反応はよく、マイルスは大手メーカーCBSコロムビアに誘われるが、所属レコード会社のプレスティッジとはまだ契約が残っていた。メジャーへの早期移籍を望むマイルスは、アルバム契約の残り4枚を早急に消化するために56年5月11日と10月26日の2日間で25曲を録音した。というのがいわゆる「マラソン・セッション」。そして音源は『クッキン』『リラクシン』『ワーキン』『スティーミン』の4枚となってリリースされた。というわけで、アルバム・タイトル、選曲はすべて「後付け」であるにもかかわらず、この4枚には不思議とそれぞれの表情がある。演奏の傾向はどれも同じであるのだが、録音中の会話も収録された『リラクシン』はやはりくつろいで聴こえたりする。
 これらの中でいちばんまとまりがあると言われているのが『クッキン』。このアルバムだけが同じ10月セッションだけで統一されているということも大きな理由だろうが、ジャケットのカッコよさや曲の並びなどの作り方が「作品」を感じさせるところも大きい。最後「チューン・アップ」で熱い演奏が盛り上がった後、アンコールのように「ホエン・ライツ・アー・ロウ」が流れてくる構成も実に美しい。この曲順が変わるときっと全然違う印象になるだろう。
 このように、アルバムは音楽そのもの以外の要素も「聴いている」ように思うのだが、いかがだろうか。
 ちなみにこの4枚、当時はほぼ1年に1枚ずつリリースされたという。『クッキン』は最初だから作り手も気合いが入ったのか? 最後は『スティーミン』で61年9月のリリース。「残り物」だと聴こえ方も変わってくる?

写真:『クッキン/マイルス・デイヴィス』(Prestige/ビクターエンタテインメント)


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