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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2005-09-08

『ノウ・ホワット・アイ・ミーン/キャノンボール・アダレイ・ウィズ・ビル・エヴァンス』

9月15日はビル・エヴァンス(ピアノ)の命日ですが、この日はキャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)の誕生日でもあります。命日も誕生日も本人の意思とはまるで関係ないものですが、こじつけでそのふたりの共演アルバムを聴いてみましょう。
 ジャズは不思議なもので、まるで違うスタイルであっても、その組合せが予想もしないおもしろい結果を生む場合もあります。マイルス・デイヴィス(トランペット)のグループでは共演しているふたりですが、その持ち味をみると“リリカル”エヴァンスと“ファンキー”アダレイで、まるで水と油です。共演したアルバムはアダレイの『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』。マイルスのグループは6人編成だったので多彩な“役者”が必要でしたが、アダレイ+エヴァンス・トリオというのは、それぞれのスタイルを知る人にとってはやはり異色と思われるものでしょう。さて、その結果は? 意外なことにリーダーはアダレイであるにもかかわらず、アダレイはエヴァンスに寄り添いました。エヴァンスはいつもどおり。エヴァンスの曲は2曲もやっているのに自作曲はなし。ここでは他では聴くことのなかった“リリカル”アダレイになったのです。リーダーが絶対君主というモダン・ジャズにあって、この見事な変身ぶりは驚かずにはいられません。結局アダレイはこの後またファンキー路線にもどるのですが、ここではエヴァンスとの共演という企画を隠れ蓑に、新しい挑戦を試みていたのかもしれません。“アダレイはファンキー”という先入観がなければ、聴こえ方も違っていたでしょう。“異色のアルバム”と紹介されがちですが(していますが)、すばらしいアルバムなのですから。

『ノウ・ホワット・アイ・ミーン/キャノンボール・アダレイ・ウィズ・ビル・エヴァンス』
(ビクターエンタテインメント)1961年録音


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