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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2005-08-16

『ワルツ・フォー・デビイ/ビル・エヴァンス』
1961年録音

8月16日のビル・エヴァンスの誕生日にちなんで、今週は『ワルツ・フォー・デビイ』を聴いてみましょう。
 エヴァンスのアルバムは100枚を越えるほどありますが、エヴァンスといえばピアノ・「トリオ」が楽器だったといえるぐらいその多くはトリオ編成によるものです。中では1950年代末からのスコット・ラファロ(ベース)、ポール・モチアン(ドラムス)による最初期のトリオが特に有名で歴代トリオの中も最高の演奏と評価されています。
 そしてエヴァンス・トリオといえば「インタープレイ」。ドラムスはリズム・キープ、ベースは規則正しいランニング(遅いテンポならウォーキング:いずれも1拍ごとに動くことを指す)、そしてピアノはその上に乗るというのが一般的なピアノ・トリオの枠組みですが、エヴァンス・トリオはその感覚を大きく変えました。ベースもドラムスも定型パターンの枠から離れ、ピアノに反応してどんどんからみ、つっこみを入れるという「インタープレイ=相互作用」を全面に押し出したのです。もちろんインタープレイはそれ以前からジャズの基本でもありますが、ここまで大胆に表現したのはエヴァンス・トリオからといえましょう。特にスコット・ラファロのベースはそれまでのベースの「活動範囲」を大きく広げ、多くのベーシストに影響を与えました。
 『ワルツ・フォー・デビイ』はそのトリオによる1961年6月25日のライヴ録音。エヴァンス・トリオの最高の瞬間を捉えたアルバムです。まずは1曲目のバラード「マイ・フーリッシュ・ハート」を聴いてみてください。エヴァンスのタッチの美しさに耳を奪われますが、ベースとドラムスの動きに注意して聴くと、どちらもパターン化されたリズム・キープはせず、同時に3人で、それも注意深くお互いの動きに反応しながら演奏しているのが感じ取られると思います。なお残念なことに、この録音の10日後にラファロは交通事故で急死。これが最後の記録となりました。
 余談ですが、このアルバムには観客の話し声やグラスや食器の音など多くの「ノイズ」が入っています。最高の名演も現場では酒の肴だった人もいると考えるとおもしろいですね。

『ワルツ・フォー・デビイ/ビル・エヴァンス』
(ビクターエンタテインメント)


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