『ソニーズ・クリブ』
*今月はソニー・クラークのアルバムを紹介します。
紹介してきたように、ソニー・クラークはデビュー当時はたくさんのアルバムをリリースしていた。クラークの才能に期待を寄せ、ブルーノート・レーベルのプロデューサーはさまざまなチャンスを与え続けていたのだ。残念ながら結果的に大ブレイクには至らなかったわけだが、クラークのアルバムは『クール・ストラッティン』を始め、良質のアルバムばかりだ。
『ソニーズ・クリブ』は、『クール〜』の約2か月前に録音された3管フロントのセッション。『クール〜』との大きな違いは、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、カーティス・フラー(トロンボーン)、ドナルド・バード(トランペット)というスターを揃えたこと(ちなみに『クール〜』でアルト・サックスを吹くジャッキー・マクリーンはまだまだ新人)。というわけか、演奏全般に『クール〜』とは違うハツラツとした印象がある。
フロントが3人いるので当然クラークのソロ・スペースは少なくなるが、演奏全体をコントロールするクラークのみごとな手腕を感じることができる。LPのA面が「わが心に歌えば」「スピーク・ロウ」★「降っても晴れても」のスタンダードで、ホーン・プレイヤーをひとりずつフィーチャー、B面はクラークのオリジナルという構成も実によい。やはりもっともっと注目されてしかるべきピアニストだったと思うのだ。
『ソニーズ・クリブ/ソニー・クラーク』1957年10月9日録音(東芝EMI)