ソニー・ロリンズ『ウェイ・アウト・ウエスト』を聴く(2)
■今月はK2HD CDで発売中の『ウェイ・アウト・ウエスト/ソニー・ロリンズ』を紹介します。
*『ウェイ・アウト・ウエスト』はこう聴く
このアルバムの大きな聴きどころはふたつある。
まずは「トリオ編成」であること。ジャズで「トリオ(3人編成)」といえば、ほとんどの場合はコードのある楽器、たとえばピアノ、ギターなどが入った編成になるが、ここでのトリオはそれがない。音程のある伴奏はベースだけという状況でアドリブ・ソロをするわけである。いわば希薄な伴奏だが、ロリンズの場合それは「プラス」となる。
というのは、伴奏はソロのガイドである一方、ソロを束縛するものでもあり、ロリンズはそこから離れて自由奔放にソロをとりたかったというのである。聴いている方にとっては、場合によっては「どの部分を演奏しているのかわからない」「なんかスカスカじゃない?」ということにもなりかねないが、そこはロリンズ。そんなことはまったく感じさせない。
そしてもうひとつはすばらしい共演者である。〈次回更新へ続く〉
『ウェイ・アウト・ウエスト/ソニー・ロリンズ』(ビクターエンタテインメント)