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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2006-03-01

◎ビル・エヴァンス『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』 その1

■今月はK2HD CDで発売中のビル・エヴァンスのアルバムを紹介します。

ピアニスト、ビル・エヴァンスは1929年8月16日に生まれ、1980年9月15日に病気のため死去した。早すぎた死はたいへん惜しまれるが、残された作品は数多く、その多くはピアノ・トリオ編成であった。エヴァンスは自身の活動のほとんどがピアノ・トリオであり、まさにトリオこそが彼の楽器と言えるものだった。

エヴァンスのプレイの最大の特徴は「繊細さ」と「インタープレイ」。とりわけ1960年代初頭のスコット・ラファロ(ベース)とポール・モチアン(ドラムス)とのトリオでの演奏はその最上の瞬間を捉えた傑作ぞろいである。という「定説」を踏まえた上で、『ニュー・ジャズ・コンセプション』を聴いてみよう。「でも、この演奏のどこが繊細? どこがインタープレイ?」と感じた人はまったく正しい。ここにいるビル・エヴァンスは「バド・パウェルの影響を色濃く受けた、勢いのいいビ・バップ・ピアニスト」なのである。しかもドラムスはポール・モチアン。おなじみ『ワルツ・フォー・デビイ』では繊細なブラッシュ・ワークを聴かせている人であるが、ここではエヴァンスを豪快に煽っている。

その一方、後半に収録された無伴奏ソロ・ピアノでは「ワルツ・フォー・デビイ」が初演されている。それはわずか80秒の演奏ながら、後に繰り返し演奏されることになる「繊細な」アレンジがすでに完成しているのだ。

これはエヴァンスのファースト・アルバムである。ファースト・アルバムにはその演奏家のスタイルが凝縮されるとはよく言われるが、このアルバムを聴く限り、エヴァンスは「力強さ」と「繊細さ」の両方をイケるピアニストと感じられる。この3年後に「最高トリオ」による『ポートレイト・イン・ジャズ』が録音され、件の「繊細」「インタープレイ」定説が生まれることになるのだが、その3年の間にエヴァンスとモチアンにいったい何があったのか。<続く>

『ニュー・ジャズ・コンセプションズ/ビル・エヴァンス』(ビクターエンタテインメント)


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