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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2006-03-26

ビル・エヴァンス

『ハウ・マイ・ハート・シングス』と『ムーンビームス』 その2

■今月はK2HD CDで発売中のビル・エヴァンスのアルバムを紹介します。

『ハウ・マイ・ハート・シングス』『ムーンビームス』は双子のアルバムと前回で紹介したが、詳しく書くと、3週間ほどの間に行なわれた3回のレコーディング・セッションから作られたアルバムがこの2枚ということ。聴けばすぐわかるように、『ハウ・マイ・ハート・シングス』はノリのいい曲ばかりで、一方の『ムーンビームス』はバラードばかりという、似ていない双子である。

実はこれにはおもしろいエピソードがあって、もともとはプロデューサーは全編バラードのアルバムを企画していたという。しかし、バラードばかりだとセッションがダレてしまうのではないかという危惧もあった。そこでひらめいたのが、ノリのいい曲とバラードを交互に録音すればいいというアイディア。そしてそのアイディアは実行に移され、出来上がったのが性格の異なるこの2枚というわけ。

ホントに? という気もするが、CDボックス・セット『コンプリート・リヴァーサイド・レコーディングス』(ビクターエンタテインメント)にはこれらのセッションが録音順に収録されており、おもしろいほどにアップテンポとバラードが交互に出てくる。実はこれがまったく落ち着いて聴いていられない。アルバムのタイトル、選曲編成やジャケットは聴き手に大きな影響を与えているのである。

写真:『ムーンビームス』(ビクターエンタテインメント)


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