■今月はK2HD CDで発売中の『ウェイ・アウト・ウエスト/ソニー・ロリンズ』を紹介します。
*ジャケットを「聴く」
ウェスタンハットをかぶり、ガンベルトを巻いてサックスを抱えたこのユニークなジャケット写真だが、これはロリンズ本人のアイディアだそう。「西海岸初訪問記念写真」ということでマジなのかジョークなのかわからないが、笑ってしまうほど「西」のイメージがあふれている。だがこのジャケットもみごとに音楽の一部になっている。一度見て、聴いてしまうとこれ以外のジャケットは考えられないほどだ。
撮影とデザインはウィリアム・クラクストン。後にファッション写真で名を馳せるが、この時代は多くのジャズLPのジャケットを手がけていた。一歩間違えるとおふざけ写真になるところをしっかりと抑えている。
このアルバムはロサンゼルス(西)での3月の録音だが、その後ロリンズは11月にニューヨーク(東)でライヴ録音を行なう(『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』)。これは同じトリオ編成であるにもかかわらずかなり雰囲気が違う。メンバーの違いはもちろんだが、それ以上に西と東の「場」の違いを強く感じさせるものである。「太陽サンサンで開放的な明るい西」、「厳しい寒さと暗いジャズ・クラブの東」というのは類型的にすぎるが、聴けばほんとにそのとおり。ぜひ比べて聴いてみてほしい。ロリンズはそこまで計算に入れて、この陽気な写真を撮ったのだろうか。
『ウェイ・アウト・ウエスト/ソニー・ロリンズ』(ビクターエンタテインメント)
『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(東芝EMI)
→ K2HD-CD聴き比べ 視聴モニター募集!
|