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Victor Jazz Cafe - ビクタージャズカフェ

Jazzアルバムの楽しみ方 〜名盤の聴きどころ

2006-06-04

『カリフォルニア・シャワー』(1)

■6月はK2HD CDで発売中の渡辺貞夫のアルバムを紹介します。

『カリフォルニア・シャワー/渡辺貞夫』 は、78年に発表され大ヒットとなったアルバム。この「カリフォルニア・シャワー」の陽気なメロディは、ジャズ・ファンならずとも一度は耳にしているであろう「一般的インスト曲」と呼べるもの。このヒットにより渡辺貞夫の名前は世間一般に広く浸透することになった。草刈正雄と一緒に出演した化粧品のCMを覚えている人も多いことだろう。

60年代にボサ・ノヴァを日本に広めたのは渡辺貞夫だったし、この作品に代表されるような「フュージョン」(当時は「クロスオーヴァー」)が幅広い人気を獲得したのも渡辺貞夫がいたからだった。一般音楽ファンの耳を「インストゥルメンタル」に向けさせた功績はたいへん大きい。この明るいメロディはそれまでの「ジャズ」のイメージを大きく拡大した。

特に40代の方には懐かしく思い出されるアルバムだと思うが、内容は今聴いてもまったく古くは感じない。渡辺貞夫のソング・ライティングのすばらしさはもとより、バックのデイヴ・グルーシン(キーボード)、リー・リトナー(ギター)らの演奏がたいへん充実しているのも理由のひとつだ。グルーシンはほぼ全面的にアレンジを手掛けているが、グルーシンとは『マイ・ディア・ライフ』で、リトナーはそれに加えて『オータム・ブロウ』でも共演してきたことで、ここではお互いの理解がしっかりと形となって表れたということだろう。

当時のライナーノーツには渡辺貞夫の言葉が紹介されているが、このアルバムの音楽、つまりクロスオーヴァーをプレイするようになったのには、アレンジャーのゲイリー・マクファーランド(1933〜71)影響が大きいという。まだ「クロスオーヴァー」という言葉もなかった時代だが、まさにその先駆者である。このアルバムでもマクファーランド作曲の「デザート・ライド」を演奏し、敬意を表している。

発売当時、渡辺貞夫のクロスオーヴァー路線を「売れセン狙い」という頑固なジャズ・ファンも多かったと記憶する。だが、リリースから28年も経ちながら、しっかりと鑑賞にたえるこの音楽は「売れセン」どころか、気合いの入ったジャズなのだ。

写真:『カリフォルニア・シャワー/渡辺貞夫』(ビクターエンタテインメント)


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