「アイ・ラヴ・パリ」
原題:I Love Paris 作詞・作曲:コール・ポーター
コール・ポーターの曲は、時代・世代にかかわらず多くのミュージシャンがとりあげているが、もともとジャズのために書かれた曲ではない。ほとんどはミュージカルや映画音楽で発表されたものであり、それをたくさんの人がカヴァーしていくうちにジャズ・スタンダード化してきたというわけだ。
さて、「アイ・ラヴ・パリ」という曲がある。これも多くのジャズ演奏が残されているが、オリジナルは1953年のミュージカル『カン・カン』の曲である。「天才」チャーリー・パーカー(アルト・サックス)は『プレイズ・コール・ポーター』でとり上げているが、それが録音されたのは54年。つまり今風に言えば、「現在大ヒット中の映画○○の主題歌〜作曲は人気の××〜をジャズでカヴァー」という感じである。当時は「スタンダード」ではない「新曲」だったのである。そう考えると、今のジャズ・シーンって「大昔の曲」ばかり(?)。
写真:『プレイズ・コール・ポーター/チャーリー・パーカー』(Verve/ユニバーサル)