「インヴィテーション」
原題:Invitation
作詞:ポール・フランシス・ウェブスター 作曲:ブロニスロウ・ケイパー
アルバムの項で紹介した『インチュイション/ビル・エヴァンス』の冒頭が「インヴィテーション」。曲そのものは1940年代に作られたもので、52年の同名映画の主題曲になったというが、映画はヒットせず。ではジャズ演奏で決定的な名演があるかというと、そういうわけでもない。だが、たいへん人気のあるスタンダードでジャズ・ファンは多くのヴァージョンを耳にしていることだろう。歌詞もある曲だが、その多くはインスト・ヴァージョン。想像するにクールでダークでハードボイルドなこのムードがジャズマン好みということなのだろう。
ストレートにセッションするタイプの簡単な曲ではないだけに、きちんとアレンジが施された演奏が多い。先のエヴァンスの演奏もソロの掛け合いから絡みを経てインテンポに移るという展開。61年の『アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ』はソロイストが変わるごとにリズムも変わるという構成だ。82年『インヴィテーション/ジャコ・パストリアス』はエレクトリック・ベースが全体をリードする、アップ・テンポのビッグ・バンド。大迫力に飲み込まれそうな勢いだ。いずれもドラマチックな演奏が楽しめる。
写真:『インヴィテーション/ジャコ・パストリアス』(Warner Bros./ワーナーミュージック・ジャパン)