「恋とは何でしょう」
原題:What Is This Thing Called Love?
作曲:コール・ポーター
■今月はK2HD CDで発売中のビル・エヴァンスのアルバムの収録曲を紹介します。
『ポートレイト・イン・ジャズ』収録、オリジナルLPではB面トップのアップ・テンポ・ナンバー「恋とは何でしょう」。数々のヒット曲を書いたコール・ポーターの1929年のミュージカルがオリジナル。ここでのエヴァンス・トリオの演奏はリズミックな「キメ」を生かしたスリリングなアレンジになっている。女性ヴォーカリストが歌うと似合う歌詞だが、インストでもたいへん多くの演奏が残されており、中でもこのエヴァンスの演奏のようにアップ・テンポのものが多い。
1940年代に、ビ・バップ・スタイルのプレイヤーたちは既成有名曲のコード進行を使ってオリジナル曲を作ったが、タッド・ダメロン(ピアノ)はこの曲のコード進行から「ホット・ハウス」を作った。チャーリー・パーカー(アルト・サックス)の演奏が有名だが、「恋とは何でしょう」のアップ・テンポの演奏が多いのは、もともと「借用」で作られたにもかかわらず「ホット・ハウス」の影響も大きいと思われる。
ちなみにエヴァンスも有名曲「オール・ザ・シングス・ユー・アー」(作曲:ジェローム・カーン)のコード進行を使い、「アー・ユー・オール・ザ・シングス」というタイトルの自作曲として演奏しているアルバムがある。
写真:『ジャズ・アット・マッセイ・ホール/チャーリー・パーカー』(ビクターエンタテインメント)