「スピーク・ロウ」
原題:Speak Low/作詞:オグデン・ナッシュ/作曲:クルト・ワイル
1943年のミュージカル『ヴィーナスの接吻』の挿入歌として書かれた曲。クルト・ワイルの曲といえば「モリタート(マック・ザ・ナイフ)」も有名だ。「スピーク・ロウ」は新旧多くのジャズマンがとり上げ、たくさんの録音が残されているが、アルバムの項で紹介した『ソニーズ・クリブ/ソニー・クラーク』での演奏はじつに興味深い。
その演奏は、3管編成フロントだが、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)をフィーチャーしたトラックで、テーマもコルトレーンが吹く。そのままソロに入るのだが、途中で進行を見誤ってしまい一瞬沈黙してしまうのだ。
このような(ふつうは録り直すような)トラックがなぜ採用されたのかはわからないが、「えっ?」と思ってもう1回聴いてしまううちにどんどん深みにはまっていく、不思議な魅力のある演奏だ。
『ソニーズ・クリブ/ソニー・クラーク』1957年10月9日録音(東芝EMI)