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マスターの新譜紹介

マスターの新譜紹介

ケリー・スウィート
『ウィー・アー・ワン』

2007.08.22 VICP-63910

ケリー・スウィート『ウィー・アー・ワン』 2007年9月

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 ケリー・スウィートはアメリカ・マサチューセッツ州生まれの18歳の新人ヴォーカリスト。『ウィ・アー・ワン』はそのファースト・アルバム。最初に言っておきますが、これはいわゆる「ジャズ・ヴォーカル」ではありません。いわゆるバラード系ヴォーカルとでも言いましょうか、絶叫しないさらりとした心地よい歌です。

 プロデュースはセリーヌ・ディオンのアレンジも手掛けるマーク・ポートマン。ポートマンは90年代にはスムース・ジャズの人気グループ「ザ・リッピントンズ」に在籍。ソロでもなかなかいいスムース・ジャズのアルバムを出していたなあ。最近はプレイヤーとしてはあまり見かけなかったが、プロデュース業に忙しかったのか。この『ウィ・アー・ワン』ではプロデュースと作曲、プログラム全般、ミックスまでと大活躍。というわけでスムース・ジャズ(って、いわゆるジャズのサウンドとは別物を指すんだけど。念のため)の匂いも濃いね。

 さて、歌の方ですが、「ドリーム・オン」はロック・グループ、エアロスミスのカヴァー。オリジナルを聴いたことがないので比べて説明できませんが、きっと全然違うのだろうな。エアロスミスの匂いはまったくない(当然か)。これは繊細でとても美しい。これだけじゃなくてほとんどの曲が甘く切ないムード。でもイタリア語やサンスクリッド語で歌う曲もあって、一本調子のアルバムにしないところが上手いところ。1曲はさほど長くなく、最後までスムースに一気に聴けてしまうね。

 ところで、ケリー・スウィートはスムース・ジャズの人気サックス・プレイヤー、デイヴ・コーズのグループに参加して6月から8月の間に26本の全米コンサート・ツアーを行なっている。6月末のコンヴェンション・ライヴは、その忙しいツアーの合間を縫っての来日だったんだね。コンヴェンションではピアノ1台とのステージで、1曲だけア・カペラ(無伴奏)でタイトル曲「ウィ・アー・ワン」を歌ったんだけど、その音程の確かさ、表現力の豊かさには実に感動しました。

 というのには単純に「うまい」という他にも理由があってのこと。最近の録音技術はすごく進歩していて、言葉は悪いけど仮にヘタクソであってもそれなりにできちゃうんですね、レコーディングは。特にヴォーカルは1テイクでそのままオーケイという録音はほとんどないといっていいぐらいに繋ぎ合わせと加工は常識になっている。で、そういうことはリスナーも知っている。ということもあって、ライヴというのはアーティストとして「真の姿」を見せる場、聴く側としては「確認する」場でもあったりするわけ。そこで、堂々とアカペラで歌ったわけだから、これは本当に実力の証明となったのです。いやあ、それだけでも行った甲斐があったというものでした。

というわけで、マスターとしては「ケリー・スウィート=実力あり」と太鼓判を押しておきます。ジャズじゃないんだけど、「上手いヴォーカル」なら好きだな。




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