ロリンズの新作が出ると聞いて、実は複雑な心境。2005年の来日「ラスト・コンサート」はすばらしかったと聞くが(ああ、行けなかった…)、その後は引退予定という告知もあった。これまで5年間アルバム・リリースなし、最近奥さんが亡くなったという悲しい知らせもある。そんな状況での新作。オレのヒーロー、ロリンズは今どうなっているのか。さらに、これはロリンズの自主制作レーベル「DOXY」からのもの。30年以上もつき合いのあったレコード会社からどうして今離れたのか。うーん…。
しかし、1曲目のイキのいいビートにのるブロウ一発を聴いただけで、余計な心配をした自分を恥じた。ロリンズ様すいません。こりゃすごいぞ、というのが第一印象。強烈に元気で、しかもサウンドもフレイズも勢い良く新鮮だ。これで引退? そりゃないよ。で、最新情報をチェックするとヨーロッパのツアーもあるようだし、どうやら完全引退というわけではないらしい。ただし日本にはもう来ないが(ああ、行けなかった…)。 それはさておき、確かに引退したっておかしくない歳ではある。1930年9月ニューヨーク生まれの76歳。日本式に言えば昭和5年生まれの午年。それでいてこのバリバリの演奏。すごいおじいちゃんですよ。失礼ながら高齢の方だと「その年齢にしては」というフィルターをかけちゃうこともあったりするけど、ロリンズには不要だね。20年前から年とってない感じだ。そういえば主要メンバーも20年前と同じだな。まさか20年前の音源? それは冗談。では1曲めから聴いていこう。