SOUemonさん、いらっしゃいませ。
たしかに、同じ曲を何度も録音している人はいますよね。聴く側からすれば「待ってました!」という場合もあれば「またやるの?」って感想のこともある。まあ、アレンジは同じでも、メンバーが違えば演奏はけっこう変わるわけだけど、同じメンバーで同じ曲を同じようなアレンジで何回も演奏すれば、飽きちゃっても不思議じゃないよね、マスターはミュージシャンではないから想像ですけど、どうなんでしょう。まあ、一見(一聴?)同じような演奏の、細かい差異を聴き取るというのも一流リスナー(って言うのかな)の楽しみでもあるわけだけど。
でも、同じ曲でも演奏するたびに全然違うアプローチの人もいる。まあ、飽きちゃったから変えるということではないんだろうけど。今回はそんなアルバムをご紹介します。
とにかく変化の連続といえば、マイルス・デイヴィスですね。音楽はどんどん変わり続けて、同じ曲でも数年でびっくりするような変貌ぶり。そしてどれもまたすばらしい。例としてマイルスの代表曲「ソー・ホワット」を聴いてみましょう。
オリジナル・ヴァージョンは1959年録音の『カインド・オブ・ブルー』に収録されていますが、スローで緊張感あふれる演奏はモダン・ジャズの代表曲として聴き継がれています。オリジナル発表の2年後には、同じ「ソー・ホワット」を収録したライヴ盤『ブラックホークのマイルス・デイヴィス』が録音されています。ピアノがビル・エヴァンスからウィントン・ケリーに、サックスがジョン・コルトレーンからハンク・モブレーに、いわばノリのよいスタイルのメンバーに交代したことが大きいと思われますが、テンポを速め、軽快な感じの演奏になっています。オリジナルとはまた別の魅力があります。
そしてその3年後、メンバーもマイルス以外全部入れ替わってのライヴ盤の『イン・ベルリン』。これがまた違うのです。ここでは超アップ・テンポ。オリジナルに比べるともう全然別の曲といってもいいぐらいの大変貌をとげています。
でも、いずれもこの曲の持ち味である緊張感は失われてはおらず、それぞれが「マイルスのソー・ホワット」と言える名演です。この曲に限らず、マイルスは同じ曲を何度も録音していますが、時期によってその演奏スタイルは大きく異なっています。ひとつの曲をさまざまなスタイルで演奏し尽くそうとしているようですね。これなら演奏する方も聴く方も飽きるなんてことはないでしょう。ぜひ、聴き比べてみてください。
ところでウチのコーヒーはどう? いつも同じ味で飽きてない? ああ、いつも同じ味だからいいってこともあるなあ。うーん…。