Mobius1さん、いらっしゃいませ。
J-POPの人でもジャズやってますよ。まずはサザンオールスターズの桑田佳祐のソロ。『夷撫悶汰レイト・ショー〜長距離歌手の孤独 in jazz cafe』DVDでは、ビッグバンドをバックに桑田がジャズ・スタンダードを歌いまくってます。「ミスティ」「ラウンド・ミッドナイト」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」など有名曲ばかりがずらり全28曲。桑田が夷撫悶汰(いヴもんた)というジャズ・シンガーに扮したドラマ仕立てのコンサートのライヴで96年の収録です。パシフィコ横浜という大ホールでなんと3日間行なわれたコンサートだけど、ジャズシンガーでこれだけのライヴ(規模も含めて)をやれる人は、そういないんじゃないかな。
次はスタンダードじゃないけど、井上陽水の02年作品『Blue Selection』はジャズ・アレンジによるセルフ・カヴァー・アルバム。クールに疾走する4ビートになった「飾りじゃないのよ涙は」は特にいいね。「ダンスはうまく踊れない」はこうやって聴くと4ビートにぴったりな曲だったんだね。歌い方はふだんのままだけど、全編にブルーでダークな雰囲気が漂っている。アレンジが井上陽水本人というのにも注目。
かなり古いけど美空ひばり(J-POPなのか?)はたくさんジャズを歌っていたのはよく知られている。編集盤CD『ジャズ&スタンダード』(日本コロムビア)で聴けるよ。「ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー」(65年)なんて知らずに聴くと日本人には聴こえない。「A列車で行こう」(55年/17歳の時!)は日本語の歌詞も付けられていて、「ロマンス列車」と歌ったりしてておもしろいんだけど、その後、英語で歌って、たっぷりとスキャットを聴かせるという展開。とにかく歌の上手い人なのね。
さて、このほかにもいろいろあるんだけど、じゃあジャズ・シンガーとポップス・シンガーの違いって何?と考えると実はけっこう難しい。ジャズの曲を歌えば、あるいは4ビートでやればジャズ・シンガーってわけじゃないのは明らかだし、その逆もしかり。どう思います?