kamchanさん、いらっしゃいませ。
まず、「+(プラス)2」というのは、「オリジナル(初発売)LP収録曲プラス2曲収録」という意味です。プラスされているのは、オリジナル収録曲と同時に録音されていた音源、つまり時間的制約でLPに収録しきれなかった曲が多いですが、それだけではないですね。オリジナル収録曲の「別(オルタネイト)テイク」、「未編集ヴァージョン」、はたまた「失敗テイク」までさまざまです。そういったものを全部入れて「コンプリート」と名が付いているものもあります。
この「オリジナル・アルバム未収録曲」や「別テイク」は、LP時代にも多く発表されていました。多くは「未発表テイク集」といったような別のアルバムという形で出ていましたが、CDが登場してからは、CDの収録可能時間がLPより長いことから、オリジナルに付け加えられるようになったのです。
これにはずっと賛否両論がありますね。まず賛成の方は、音源はたくさんあった方がよい。要らなければ聴かなければいいという考え。反対は、オリジナルは曲数・曲順も含めてひとつの作品として完結しているものだから、その形であるべきということ。「失敗テイク」は言うまでもなく、「別テイク」は言葉を変えれば「没テイク」なのだから、と。どう思います?
マスターとしては、LPで聴き慣れたラストの曲が終った後に、また別の曲が出てくるのはいやなんだな。そこで止めればいいって言われてもね。好きなアルバムだと、LPのA面ラストの曲からB面アタマの曲がつながるのもいやなぐらいなのね。最高にわがままで理想的なLPのCD復刻は、LPの片面をCD1枚に収録。つまりA面B面をそれぞれCD1枚にして、LPを裏返す行為をCDの入れ替えに置き換えるわけです。どうかな? あ、笑ったね。
でも、その一方で、別テイクが入っていたからこそ出会えたすばらしい演奏というのも確かにあるから絶対不要とも言い切れない。例えば『アンダーカレント/ビル・エヴァンス&ジム・ホール』。これピアノとギターのデュオで、シトシト雨の降る深夜に聞くと最高なんだけど、それはさておき、オリジナルLPは6曲の収録。以前出た国内盤CDはオリジナル未収録曲2曲、別テイク2曲が追加収録されて全10曲の『<コンプリート>アンダーカレント』だったんだけど、ここに追加されたトラックはとてもいいんだな。特に「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の別テイク(といっても演奏内容はかなり異なる)がすばらしくて、採用テイク決めはかなり苦渋の選択だったんだろうなと思わせるもの。現在の国内盤はオリジナルのみ6曲収録だけど、海外盤はコンプリート版のまま。しかもUS盤とUK盤は曲順が違う。もうオリジナルにこだわる時代ではないのかな。ダウンロード販売は曲単位だし…。
話がそれました。質問に戻りますけど、このようにジャズは1回ごとに違う演奏だからこそ「別テイク」の価値が出てくるわけですね。だから「プラス」はジャズ以外のCDではあまりないようです。ところで、コーヒーの別テイクどお?