85394659さん、いらっしゃいませ。
『ホワッツ・ニュー』はビル・エヴァンス・トリオにフルートのジェレミー・スタイグが加わった、クァルテット編成のアルバムですね。エヴァンスが、情熱的なフルートに刺激されていつになく熱くなってますよね。
LPをお持ちとは、年季の入ったジャズファンとお見受けします。その85394659さんが質問されるというところからも察せられますように、この編成のアルバムは実はたいへん少ないのです。というのは、ジャズにおけるフルートという楽器の立ち位置に理由があります。
まず、フルートはジャズのソロ楽器としては音が小さい。「オレがオレが」の音楽であるビ・バップの時代はサックスやラッパと並んで対等に張り合えないので、フルートはほとんどシーンに登場していません。そんな歴史もあってか、ジャズでは今も専業奏者が少なく、しかもいわゆるモダン・ジャズとなるとさらに少なくなります。また、多くのジャズ・フルート演奏はサックス奏者が持ち替え楽器として演奏していますので、フルートのクァルテットでアルバムとなるとほとんどありません。決してジャズに向いてない楽器とは思えないのですが、なぜかな?
というわけで、アルバムでは『ホワッツ・ニュー・アット・F』をご紹介しておきます。これは2001年にスタイグが『ホワッツ・ニュー』を再演したライヴ盤。バックはエディ・ゴメス(ベース)を含むピアノ・トリオです。
おまけに、アルバムではありませんが、マスターおすすめフルート+ピアノ・トリオ編成のフルートの名演をご紹介します。まず、アルト・サックス、バス・クラリネット、フルートを演奏するマルチ奏者、エリック・ドルフィーの『ラスト・デイト』。この中のバラード「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」は泣けますよ。ジャズ好きならこれ必聴です。
もう1枚。チャールズ・ロイド『フォレスト・フラワー』の中の「ソーサリー」もいいね。バックはキース・ジャレットを含むトリオで、フルートらしからぬ熱い演奏です。今や大巨匠のキースがけっこう暴れていておもしろいですよ。