2009.12.23
今年も残すところあとわずか。みなさんの今年のジャズ生活はいかがでしたか? マスターはいつもJazzCafeにこもりがちなんだけど、たまには外に出ることだってある。実は、今、ふだんはなかなか行けないところへ行って来たのですよ。なんとそれはビクターのヘッドホンの新商品説明会なのです。本来は関係者以外は入れてもらえないものなんだけど、今回は特別に潜入取材を敢行なのです。
会場は東京・丸の内にある「JVCケンウッド丸の内ショールーム」。ここはビクターとケンウッド商品のショールームで、毎日のようにイベントが行なわれているんだけど、今日は関係者のみを招いた新商品説明会。その新商品とは日本ビクターの「HA-FX700」というインナーイヤーヘッドホン。小さなヘッドホンだけれども、わざわざ説明会を開くほどのことはある。ヘッドホンに対する認識が変わっちゃうぐらいのすごいヤツでした。
さて、説明会に入るとすでに「HA-FX700」が展示してあり、関係者の方たちは入場するやいなや興味しんしん。「HA-FX700」をしげしげと眺めながらも、みなさんわりとクールな面持ち。まあこれが日常の仕事だから当たり前か。こちらの興奮ぶり(ドキドキ)が伝わらないことを願いつつ、後ろの方に座らせていただいた。
定刻に発表会はスタート。まずは日本ビクター(株)AVコミュニケーション統括部 企画部の澤田孝さんによる、備え付けの大型テレビに資料を映しながらの企画説明から。この「HA-FX700」は、2008年に発売された世界初※のウッドドームユニット搭載のインナーイヤーヘッドホン「HP-FX500」の上位機種にあたるものだそう。ウッドドームユニットというのは木製の振動板、つまりスピーカーでいえばビクターのウッドコーンですね。ウッドコーンスピーカーを愛用しているマスターとしては、実はけっこう気になってはいたんですよ。ついに新しいのが出てきたか…。
で、どう新しくなったのかは、設計を担当したAVコミュニケーション統括部 技術部の内田裕さんから説明があった。やはり技術者が熱く語るってのは説得力がある。開発した本人が説明しているのだから、当然ながら的確で中身が濃い。今日はネクタイしてクールな印象だけど、きっと普段は熱心に研究に没頭しているんだろうな。この人が開発していたのか。ならばきっと真面目な商品に違いない。作り手の性格は音に出る。これマスターの持論です。音楽だってそうでしょ。
主な特徴としては、改めて取組み直した「新設計」のユニットと「新開発」の構造だそう。ユニットと構造を進化させたわけだから、「HP-FX500」のグレードアップモデルということか。ここで質問が出た。「ユニットの口径はどう違う?」「HP-FX500はφ8.5ミリ、HA-FX700はφ10ミリで、新設計ウッドドームの表面積は約2倍の大きさになります」。ずいぶん違うなあ。形もかなり違うしね。また「HA-FX700」のハイクオリティたる所以は分解展示してある部品の数を見て納得。小さなインナーイヤーヘッドホンなのに、15個以上のパーツがぎっしりと詰まっている。これが技術力だよね。さらに、丁寧な仕事だなと思うのはグラスウールの吸音材まで入ってること。これは耳に装着するハイクオリティなスピーカーなんだな。スピーカーだからキャビネットも重要。もちろん木製。その外観もとても魅力的だ。使い込んでいくと、いい感じに味が出てきそうだな、と(買ってもいないのに)想像がどんどん広がってきてしまう。
発表会は30分ほどで一旦終了。その後は試聴。ヘッドホンなのでひとりひとりが思い思いに試している。用意された携帯プレイヤーから自分の携帯プレイヤーにつなぎ替えて聴いたり、何度も耳から出し入れしたり、みな真剣だ。それを見ている内田さんの表情も固い。愛する新商品のお披露目だから、そりゃ反応は気になるところだろう。相手もみんな詳しい方々だろうし。細かい質問をしている人もいれば熱く議論を繰り広げている人もいる(おっ、内田さんが微笑んでいる。好評なのかな)。終った会場の温度はちょっと上がっていた感じ。
いったいどんな音がするのか。実はマスターはまだ聴いていないのだ(特別な潜入取材だし…)。マスターが今使っている白いプラスチック製のヘッドホンとは、そもそも存在感がまるで違う。存在感なんて音と関係ない? いやいや大有りですよ。とにかく見た瞬間に使ってみたい気にさせる、このワクワクは重要です。聴いてみたいなー。えっ? 聴かせていただける? ありがとうございます!というわけで、これからじっくりと聴いてみることができるようになりました。商品の詳細と実際の音については、追ってレポートさせていただきます。これは楽しみだな。みなさんもお楽しみに。
さて、この説明会が行われたこの「JVCケンウッド丸の内ショールーム」についてもお伝えしておきましょう。ここは丸の内の「隠れ家」的な知る人ぞ知るスペースなんですよ。ショールームのマネジャーである竹之内浩一さんにお話をうかがった。
「ここは40年も前から同じ場所で営業しているショールームですが、商品を展示をするだけでなく、CDコンサートやライヴなどさまざまなイベントも行っています。私としては、商品の紹介のためよりも、まずは音楽や映像の楽しみを知ってほしいという気持ちでそれらを企画しています。特にオーディオ商品は音楽を楽しむためのツールですから、音楽を楽しみたいという気持ちを持っていただくことがオーディオの出発点なんです。さらにお客様が音楽の楽しみを体感できれば、おのずといい音が欲しくなる。それからオーディオ商品に興味を持っていただければいいと思っています」。
ふむふむ。なるほど。
「お客様からはたくさんの相談をいただきますが、まずはお客様がどういう音楽をどういうふうに楽しみたいのかを聞くところから始まります。それから、お客様それぞれのご要望にこたえたオーディオ商品をご提案していきますので、何も高価なものばかりをお薦めするわけではありません(笑)。なんなりとご相談ください」とのこと。100人いれば100通りの聴き方があるけど、みんな「音楽を楽しむ」という目的は一緒のはずだ。竹之内さんもショールームの責任者である前に、まずは僕らと同じ「音楽ファン」なんだな。
なかなか居心地がいいので、発表会の後もついつい長居してしまいました。そんな時にここでしか聴けないウッドコーンオーディオシステムも発見!。またじっくりと聴きに来よう。
さて、次回はいよいよHA-FX700の全貌が明らかに。マスターは自腹購入も視野に入れつつ(笑)、徹底的にチェックして紹介してくれる予定です。お楽しみに。