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第3弾 音のこだわり「ウッドコーンスピーカーの秘密」 その1

音のこだわり「ウッドコーンスピーカー」の秘密

その1 ~なぜウッドなのか
その1その2その3


これまでこのコーナーでも紹介してきてすでにおなじみのウッドコーンスピーカー。その名のとおりスピーカーの振動板が木製という、日本ビクターの数多いオーディオ製品の中でもひときわユニークなものとして知られるものだ。このたびニュー・モデルEX-A3が発売されるのを機に、開発者である今村智氏(日本ビクター主幹技師)にウッドコーンについてたっぷりとお話をうかがうことができた。
とにかくこれぞ「こだわり」の集積。発想をカタチにする開発者の苦悩と努力に私マスターは驚きの連続。第1回めのテーマは「なぜウッドなのか」。ユニークな発想の原点を聞いた。



マスター:今村さん、こんにちは。今日は「ウッドコーンスピーカー」についてお話を聞かせてください。ウッドコーンは、K2HD CDの試聴で使わせていただいたり、ビクター青山スタジオに見学に行った際にスタジオで発見(?)したりと、ずっと気になっているスピーカーなんです。とにかく知りたいことがたくさんあるので、単刀直入に聞かせていただきます。まず「どうしてウッド(木)なんですか?

今村:一般的にスピーカーの振動板は紙やプラスティックです。素材によって出てくる音は違います。まず実際に「素材の音」を聴いてみましょう。今日は参考になるものをいろいろと持って来ているんですよ。

マスター:おおっ!(ここは感動するところではないのだが)。


今村:まずアルミの棒を叩いてみます。(キ~~ン)すごく音が伸びますが、耳にはつらい音です。次にプラスチック。(コツッ)にぶいですね。では、木はどうでしょう。(カチン!)心地よい音でしょ? 

マスター:「火の用心!カチカチ」ですね。耳になじむ自然な響きですよね。


今村:「なぜウッドなのか」というのは、端的に言って「スピーカーは楽器でありたい」という発想からです。ヴァイオリンやギターなど多くの楽器が木で作られていることからみても、木は自然な心地よい響きを出せる素材です。ならスピーカーも同様ではないかと。今聞いていただいたように、素材の違いははっきり音に表れます。木の音の減衰特性、いわば音の響き方はとても自然なので、それを生かせばきっとよい結果が出るだろうと。

マスター:なるほど。楽器ですか。楽器の音は木の音ですものね。ヴァイオリンもギターも木のボディが振動して音が響いているわけですからね。


今村:ちょっと専門的になりますが、響きの他にも、木目があることによって定在波が発生しにくいなど多くのオーディオ的によい特徴があります。でも材質として優れているとはいえ、そもそもなぜ木のコーンのスピーカーがなかったのかというと、加工が極めて困難だったからです。これをクリアすることができ、ビクターは世界で初めて商品化したわけです。
マスター:単に「木でコーンを作る」ことが目的ではないわけですよね。


今村:そうです。オーディオとして満足できるものでなければ意味ありません。一口に木といってもさまざまな種類があります。楽器同様、ウッドコーンも木によって音が違います。

マスター:しかも前例がないわけですからね。どう違うのかはわからない。


今村:そこでコーンとして適する木は何かと、カバ、シナ、ブナ、オーク、チェリー、スプルース、シナやラワンの合板、MDF(木材繊維の集積板)など多くの木の物性を研究しました。その結果もっとも理想に近い結果が出たのがカバの無垢材でした。

マスター:楽器ではドラムやピアノに使われる比較的固い木ですね。ハイテクなオーディオ機器なのに、こう聞くとまるでアコースティック楽器のようですね。ところで木といえば、スピーカーの多くは「箱」が木ですよね。EX-A3(以下A3)はルックスもとてもいい。まわり全部が木というのも「楽器」的な印象を与えてくれますね。

今村:ではコーンの話はちょっと置いておいて、まずオーディオ素材としての木の話をしましょうか。箱――箱はエンクロージャーといいますが――で使われているように、そもそも木は響きがいいということは知られているわけですが、今回のニューモデルA3の開発にあたっては箱の材質も改めて吟味しました。言うまでもなく、音を作る上でエンクロージャーの形状や材質はとても重要です。エンクロージャーの形状が決まった後は、違う材質での試聴を繰り返しました。試した材質は、スプルース、タモ、マホガニ、メープル、サテンシカモア、カリン、ウォルナット、チェリー、そしてコーンと同じカバの9種類です。

木材種類別の音評価の実施

マスター:9種類の箱を作ったのですか?!

 

今村:はい。最終的にチェリーを採用しましたが、これは実は前のモデルであるEX-A1と同じです。結果的にA1での選択が正しかったことが証明された形になりましたが、一口に木と言ってもそれはさまざまなのです。

マスター:うーん(マホガニとメープルだとギブソンとフェンダー[ギターの話です]ぐらい音が違うのだろうか...聴いてみたい)。そこまでやるわけですか。

今村:やるわけです。でなければいいものは作れません。木の話を続けると、実はA3はコーンとエンクロージャーの他にも木を使った部分があるのです。

マスター:残りは電気関係だけでは?


今村:エンクロージャーの中は空洞ですが、そこに吸音材が入ります。A3ではその吸音材も木なのです。 最後の音決めにあたって、吸音材でずいぶん試行錯誤を重ねていたのですが、なかなかいいものがない・・・。 ある休日の夜、突然ひらめいたのがこれです。その翌朝はもう早く出社したくてワクワクしてしかたなかった。

マスター:これは、削り節のようですね。


今村:はい。実験室にたくさんあるカンナ屑にヒントを得ました。これも天然のウッドです。 これを袋に入れて試したところとてもいい結果が出たので、グラム単位で量を変えて試聴を繰り返しました。これはチェリーです。

マスター:最終的な音は、数グラムの「削り節」のさじ加減で決めるということですか?



今村:そうですね(笑)、こだわりの響きがでるまでとことんやりましたよ。でも、ウッドコーンそのものの開発の苦労に比べたら、なんでもないことですよ。

マスター:うーん(うなるばかりで言葉が出ない)。ウッドコーンスピーカーは深い味わいだ。


 

あとがき

それにしても、まさに楽器ですね、EX-A3は。コーンだけでなく吸音材まで木というのには驚きました。実験と測定はもちろん、その上で徹底した比較試聴の結果で音を決めているなんて、開発者のすごい気合いを感じましたね。ツラ構えは「小型コンポ」なのに、タダモノではないですよ、これは。もう最後は言葉が出なくなってしまいましたが、実はこの後はもっと驚くことになったのでした。次回は「ウッドコーン開発秘話」。

今回以上にうなりっぱなし。


続く
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