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VICTOR JAZZ CAFE

第3弾 音のこだわり「ウッドコーンスピーカーの秘密」 その3

音のこだわり「ウッドコーンスピーカー」の秘密

その3 ~オーディオ技術者の限りなき欲望
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苦難の試行錯誤の末に生まれた「こだわり」のウッドコーンスピーカー。だが、ご承知のようにスピーカーだけでは音は出ない。CDプレーヤがあってアンプがあって、初めて音が出て、音が決まる。最終回はスピーカー以外の音の作り込み、そしてトータルシステムの音の仕上げについて聞いた。






 

マスター:(実際に音を聴く。『ザ・ガール・イン・ジ・アザー・ルーム/ダイアナ・クラール』
うーん。これは驚き。自然でバランスがいいなぁ。小さいサイズを感じさせないスケール感もある。特に声のナチュラルな響きが印象的ですね、私としては。それにしてもこの音は「木」の感じがします。これに比べるとウチの店のスピーカーの音は「紙っぽく」感じなくもない。ウッドコーンを軽く叩くと、紙コーンとの違いがはっきりわかるから、あながち思い込みではないと思います。 ところで「A3」はニューモデルということですが、先にうかがったようにエンクロージャの材質や吸音材を見直したりと「A1」からかなり変わりましたよね。これは進化なのでしょうが、「A1」」はもう古くなってしまったってことですか?(なんて、ちょっと率直過ぎ?)

今村:(笑)いや、まったくそんなことはないです。現にビクタースタジオでは現在も「A1」が全室で稼働中ですので、それだけでもいかに完成されたものかは想像していただけると思います。あのエンジニアたちは気に入ったものじゃないと絶対に使わない人たちですから。音に関しては同じビクターのよしみというものはまったくないんですよ。使うときも知らせてくれなかったぐらい。(苦笑)。それはさておき、どんなに優れた製品であったとしても同じだと思いますが、発売からしばらくすると、開発者としてはこうすればもっとよくなるのではないかと思ってしまうわけです。

マスター:満足は一時のものでしかないと。たしかに、オーディオでもパソコンでもクルマでも必ず「次のモデル」は出ますよね。使用者としては満足でも、必ず「もっといい」というふれこみで出て(笑)、実際よくなっている。これは技術者の限りなき欲望の表れなのでしょうね。他に「A3」はどこが変わったのでしょうか?

今村:ウッドコーンのナチュラルな音色はもちろんそのままに、小型フルレンジ(・スピーカー:1本で全帯域をカヴァーするスピーカー)の良さをさらに引き出そうと考えました。小型フルレンジは音源が小さい、いわゆる「点音源」なので、音場感が非常にいいのです。音の定位がよく、自然な広がりが感じられると思います。ただし、口径が小さいため比較的低音が出にくいという欠点もありますが。

マスター:いやあ、そんなふうには感じられませんでした。


今村:(えっへん)そのためにさまざまな工夫をしたのですよ。「A3」は「A1」よりユニットの口径を5ミリ大きくし――5ミリでも面積は約13パーセント拡大です――、エンクロージャの容積、磁気回路やバッフル面も改善しています。スピーカーの能率もアップしています。こっちも見てください。アンプの出力も上がっています

マスター:センターユニットですね。たしかに音を決めるのはスピーカーだけではないですものね。

今村:そもそも「A3」はセンターとスピーカーがセットになったコンポです。スピーカーが最高の性能を出せるよう、こちらも見直しました。さらによくなりましたよ。裏を見てください。この部分、外して持って来ています。持ってみてください(コの字型の厚い黒い板材を渡す)。重いでしょ? アークベースというんですけど、これを底に付けると音の重心がグッと下がるんです。足は3本。この足、インシュレーターは樹脂と真鍮を組み合わせています。このCDが乗るトレイは固くて重いですよ。これらは不要な振動を取り除くためのものなんです。

マスター:(なんか圧倒されて、ただただ聞くばかり。たいへんだったと言いながらも、何か楽しそうでもある)

今村:この天板のネジのところを見てください。前と後のワッシャの色が違うのは材質が違うから。前が銅で後ろが真鍮です。これで中高域のザラつきが抑えられるんです。こういうのはハイエンドのクラスでは当たり前ですが、このクラスでここまで追い込んでいるのは少ないと思いますよ。

マスター:ワッシャってネジのアタマの下に挟んであるドーナツ状の薄っぺらな板ですよね。これで音が変わるって...。(重さは0.1グラムにも満たないんじゃない? 音が変わるにしても、ベストな組合せを決めるのにはそうとうな試行錯誤があったのだろうなぁ...)

今村:もちろん電気回路も電源も見直してます。そしてK2テクノロジーも...。圧縮オーディオもいい音で聴けるように工夫しています。

マスター:これはもう進化というよりも、何か別ものというぐらいな印象ですね。でもまた3年経つとさらにこれの進化形を作っちゃったりして(笑)。

今村:今はできるだけの努力をして完成させたわけですけど、またそうなるかもしれません。でも、最後の音の仕上げ方はいつも同じなんです。

マスター:と、いいますと?


今村:最後のチューニングはビクタースタジオのエンジニアと共同で行ないます。音は計測数値では決まりません。もっとも大切なのはアーティストの思いをきちんと伝えられるかというところですから。オリジナルマスターテープの音を基準に、いかに音楽の感動を伝えられるか時間をかけて試行錯誤していきます。スタジオのエンジニアも録音とマスタリングでそれぞれ立場が異なりますので、聴き方も異なります。もちろん開発のエンジニアはまた感覚が違います。ハードウェア側だけ、またはソフト側だけの聴き方、感性では偏ったものになってしまう危惧があります。ですからこのようなコラボレーションはとても重要で、それができるのがビクターの強みでもあるわけです。とにかく最後は人の「耳」なのです。

マスター:うーん、「耳」か。なんというかあまりにストレートな真理に行き着いてしまいましたが、あれだけのたゆまぬ研究と試行錯誤の末のこの一言はグッときますねぇ...。でも最大の問題はその先にある自分の耳だったりして(笑)。では、もう試聴1曲お願いします。

今村:お買い上げですか? お持ち帰りできますよ(笑)。

 

あとがき

EX-A3(別ウィンドウで開きます)

オーディオ装置が伝えるのは「音」ではなく「音楽」。 そう、ぼくらは「音楽」を聴いているんだ。 音楽に込められた「アーティストの思い」をどこまでそのまま届けられるか。 「原音再生」とはそういうことなんだな。 そしてそこには「開発者の思い(汗と涙?も)」もしっかり込められているのだ。 オーディオ装置はきちんと選ばなければ、と改めて感じたひとときでした。

この取材を終えたら、なんだか嬉しくなって、お店にも自宅にもEX-A3を置くことにしたよ。 なんだか私もこだわりをひとつ受け継いだ気分でね。 では、またのご来店をお待ちしています。


END
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