2011.08.12
マスターのこだわり第14弾
マスターに内緒で潜入 ウッドコーンフルレンジプレミアムモデル「EX-AR9」特別試聴会
今回は、ウッドコーンの新しいプレミアムモデル「EX-AR9」の特別試聴会に、なんと!JazzCafe常連のSam氏が参加したとのこと!参加できなかったマスターとしては、チョー悔しいけれど、「EX-AR9」の魅力をSam氏のレポートでは、さてどんな風に伝えてるかな?
ビクタースタジオとのコラボレーションプレミアムモデル「EX-AR9」
「オーディオファンならば一度は聴かなければ」とマスターから教えられたウッドコーンスピーカー。
自然で、原音に近い音が再生できるスピーカーとのことですが、「EX-AR7」をさらにチューンアップしたウッドコーン搭載のオーディオシステムプレミアムモデル「EX-AR9」特別試聴会に、マスターには内緒で参加してきちゃいました。会場となるのは数々の名作が録音された、日本の音楽の聖地、あの青山「ビクタースタジオ」。これだけですでにオーディオファンはグッときます。
(いそいそと30分前に)到着すると、すでに席はいっぱいで、始まる前からただならぬ熱気が伝わってきます。受付でいただいたリリースに目をとおしてビックリ! 今回の試聴会は2部構成でして、何がビックリかと言いますと、前半の1部では普段ならば絶対に立ち入ることのできないスタジオ(ミックスダウンスタジオ)内で、設置してあるスタジオモニタースピーカーと「EX-AR9」の聴き比べをするというのです。ウッドコーンにますます興味津々です。
いよいよオドロキの試聴会がスタート
まずは、ウッドコーン開発者の今村智(H&M事業部開発グループ)さんによる製品紹介です。
そのなかで「スピーカーは楽器でありたい」という思いがウッドコーン開発につながった、というお話をされてました。ヴァイオリンを代表とする弦楽器やピアノ、音が優れた楽器は確かに木製が多い。本来ならばスピーカーのコーンは、紙、金属、異素材をと考えそうですが、木に着目するのはすごいことですね。そんなことを考えながら、いよいよ楽しみにしていた試聴で、参加者はおごそかにスタジオへ移動。こんなイベントでもなければ絶対に入る機会はないミックスダウンスタジオ202に入るやいなやどよめきが起こり、手にしたカメラで撮影しまくりでした(そういうワタシも軽い興奮状態)。
思いを熱く語る今村さん
スタジオ大型モニタースピーカー VS 9cmウッドコーンフルレンジオーディオシステム
ここがミックスダウンスタジオ202(ワオ!)
いよいよ1部の比較試聴です。このスタジオに設置されているモニタースピーカーはレコーディング業界ではおなじみ「GENELEC(ジェネレック)」の 1035Bという1本約500万円もするフィンランドブランドの製品です。
スピーカーユニット構成は3ウェイ5スピーカーで、どう考えても今回比較される「EX-AR9」の9cmフルレンジスピーカーが相手になるはずはなさそうだが・・・と、なんだかんだ考えていたら、スタジオ長の高田英男さんからこれから試聴する音源の解説がありました。
なんと、これがまた凝ってるんですよ。音源は5種類。
ひとつは朗読する人の声を構造が異なる3種類のマイクを使って録音した3つの音源。
もうひとつはコントラバスの弓弾きのソロを2種類のマイクを使って録音した2つの音源。朗読で使われているマイクはリボンタイプのRCA DX77、コンデンサータイプのノイマン U87、ダイナミックタイプのシュア Beta57A。
コントラバスで使われているマイクはコンデンサータイプのショップス CMC-521に真空管が使われているノイマン M269と、どのマイクもマニアが泣いて喜びそうな名器ばかりです。そしていよいよ再生。
まずはスタジオモニタースピーカーから。参加者は固唾をのんで待ち、音が出た瞬間小さな歓声が起こりました。朗読する人が目の前にいます。口元の動きが見えます。3種類のマイクの特性の違いも実際の音としてよくわかりました。ベースソロも目の前に少しかがんだ演奏者の姿が見えました。2種類のマイクの違いも聴き取れました。当たり前といえば当たり前なのですが、スタジオスピーカーの持つ実力を見せつけられました。参加者は大型モニタースピーカーのすごさでノックアウト状態。
さて、引き続き「EX-AR9」での試聴です。ところが「EX-AR9」の再生ボタンが押された途端に、先ほどより明らかに大きな衝撃が会場に起こりました。マイクの違いによる音質の差がはっきりわかります。口元の動きも見えます。演奏者が弓を小刻みに動かして演奏している姿がセンターにあります。重低音の量感が少ないのはスピーカーユニットが小さいので仕方がありませんが、音全体の聴こえ方はスタジオスピーカーに劣らないとても9cmのユニットから出ているとは思えないくらい豊かな音です。
そして最大の盛り上がりがスタジオエンジニア長・FLAIR長の秋元秀之さんによる生ミックスダウン。
音源の説明をするスタジオ長の高田さん
普段はこんな人です
エンジニア長の秋元さんによるミックスダウンの説明
普段はこんな人です
まずは、ウッドコーン開発者の今村智(H&M事業部開発グループ)さんによる製品紹介です。
そのなかで「スピーカーは楽器でありたい」という思いがウッドコーン開発につながった、というお話をされてました。ヴァイオリンを代表とする弦楽器やピアノ、音が優れた楽器は確かに木製が多い。本来ならばスピーカーのコーンは、紙、金属、異素材をと考えそうですが、木に着目するのはすごいことですね。そんなことを考えながら、いよいよ楽しみにしていた試聴で、参加者はおごそかにスタジオへ移動。こんなイベントでもなければ絶対に入る機会はないミックスダウンスタジオ202に入るやいなやどよめきが起こり、手にしたカメラで撮影しまくりでした(そういうワタシも軽い興奮状態)。

思いを熱く語る今村さん

ここがミックスダウンスタジオ202(ワオ!)
いよいよ1部の比較試聴です。このスタジオに設置されているモニタースピーカーはレコーディング業界ではおなじみ「GENELEC(ジェネレック)」の 1035Bという1本約500万円もするフィンランドブランドの製品です。
スピーカーユニット構成は3ウェイ5スピーカーで、どう考えても今回比較される「EX-AR9」の9cmフルレンジスピーカーが相手になるはずはなさそうだが・・・と、なんだかんだ考えていたら、スタジオ長の高田英男さんからこれから試聴する音源の解説がありました。
なんと、これがまた凝ってるんですよ。音源は5種類。
ひとつは朗読する人の声を構造が異なる3種類のマイクを使って録音した3つの音源。
もうひとつはコントラバスの弓弾きのソロを2種類のマイクを使って録音した2つの音源。朗読で使われているマイクはリボンタイプのRCA DX77、コンデンサータイプのノイマン U87、ダイナミックタイプのシュア Beta57A。
コントラバスで使われているマイクはコンデンサータイプのショップス CMC-521に真空管が使われているノイマン M269と、どのマイクもマニアが泣いて喜びそうな名器ばかりです。そしていよいよ再生。
まずはスタジオモニタースピーカーから。参加者は固唾をのんで待ち、音が出た瞬間小さな歓声が起こりました。朗読する人が目の前にいます。口元の動きが見えます。3種類のマイクの特性の違いも実際の音としてよくわかりました。ベースソロも目の前に少しかがんだ演奏者の姿が見えました。2種類のマイクの違いも聴き取れました。当たり前といえば当たり前なのですが、スタジオスピーカーの持つ実力を見せつけられました。参加者は大型モニタースピーカーのすごさでノックアウト状態。
さて、引き続き「EX-AR9」での試聴です。ところが「EX-AR9」の再生ボタンが押された途端に、先ほどより明らかに大きな衝撃が会場に起こりました。マイクの違いによる音質の差がはっきりわかります。口元の動きも見えます。演奏者が弓を小刻みに動かして演奏している姿がセンターにあります。重低音の量感が少ないのはスピーカーユニットが小さいので仕方がありませんが、音全体の聴こえ方はスタジオスピーカーに劣らないとても9cmのユニットから出ているとは思えないくらい豊かな音です。
そして最大の盛り上がりがスタジオエンジニア長・FLAIR長の秋元秀之さんによる生ミックスダウン。

音源の説明をするスタジオ長の高田さん

普段はこんな人です

エンジニア長の秋元さんによるミックスダウンの説明

普段はこんな人です
96kHz/24bitで録音されたマルチ音源を使ってミックスダウンしていく過程をデモするという、何とも贅沢な内容です。しかもその細かい音づくりや微細な調整をスタジオモニタースピーカーを一切使わず、「EX-AR9」のみで進行するとのこと。「EX-AR9」にその様な繊細な音楽づくりに対応できるのかと初めは心配でしたが、結果「EX-AR9」恐るべしです。イコライザーやマイクの違いによる音色の変化、リヴァーブの種類別による細かなかかり具合と余韻の切れ際までをつぶさに聴き取ることができます。しかも最終的にミックスダウンが完成したマスター音源の試聴もおこない、その音楽的な表現力にもさらに圧倒されました。いやー、ここまで聴かされるとウッドコーンのファンにならないはずはありません。
巧みな技術の結晶が随所に惜しげなく
さて、興奮冷めやらぬまま、最初の会場に戻ってきました。ここからは後半の2部となり、今村さんから「EX-AR7」から「EX-AR9」へのプレミアム度の違いについて技術面での詳細な解説です。まずはセンターキャップのポールピース内側にメイプル材の木片を装着したということ。
もちろんここにもこだわりの技術がありました。木の特性を生かした伝達速度の速い、繊維方向を縦に合わせて木製薄板シートを装着することで、吸音と上下方向への音の広がりが得られるそうだ。どおりで試聴したときに音の奥行きがハッキリと感じられたわけか。なるほど。 普段は絶対に目にすることはない波型のコルゲーションを持つコルゲーションダンパー。これは振動板やボイスコイルを支える役割をもっていて、前後方向のピストン動作を妨げない構造になっています。「EX-AR9」では不均一コルゲーションダンパーという内側から外側に向かってこの波の山谷の高さが大きくなっていく構造が取り入れられ、ピストン動作のリニアリティを改善していました。
展示されたこだわりのスピーカーユニットとウッドボイスコイルボビン
神は細部に宿る…… さすがのこだわり
さて、興奮冷めやらぬまま、最初の会場に戻ってきました。ここからは後半の2部となり、今村さんから「EX-AR7」から「EX-AR9」へのプレミアム度の違いについて技術面での詳細な解説です。まずはセンターキャップのポールピース内側にメイプル材の木片を装着したということ。
もちろんここにもこだわりの技術がありました。木の特性を生かした伝達速度の速い、繊維方向を縦に合わせて木製薄板シートを装着することで、吸音と上下方向への音の広がりが得られるそうだ。どおりで試聴したときに音の奥行きがハッキリと感じられたわけか。なるほど。 普段は絶対に目にすることはない波型のコルゲーションを持つコルゲーションダンパー。これは振動板やボイスコイルを支える役割をもっていて、前後方向のピストン動作を妨げない構造になっています。「EX-AR9」では不均一コルゲーションダンパーという内側から外側に向かってこの波の山谷の高さが大きくなっていく構造が取り入れられ、ピストン動作のリニアリティを改善していました。

展示されたこだわりのスピーカーユニットとウッドボイスコイルボビン
さらに、こんなところまで!という、こだわりがありました。それはセンターキャップ。本来の役割は磁気回路内部にホコリなどがはいらないようにするためと高域再生を補う役割です。どう考えてもここには、こだわりはなさそうと思いがちですけど、実はセンターキャップの形状(R値:カーブ半径)が変更されているんです。「EX-AR7」がR23だったのに対して「EX-AR9」ではR15と結構飛び出ています。それで結果はどうかというと、広がりのある抜けの良い高域再生ができたというわけ。そして音質には直接関係なさそうに思われるエッジ素材の改良です。コーンの前後振動をきちんと制御しなくてはいけないので、その役割は重要です。普通ならば絶対に考えもおよばないブチルゴムエッジ素材の見直しが実施され、配合比率の変更により広い音場空間が得られたんです。
ポイントは縦方向取り付け
いくらスピーカーをチューンアップしても、とりつける器=エンクロージャーがしっかりしていないと、まとまりのない音になってしまうのは周知の事実。AR7の技術を受け継ぎつつ、さらに改良が施されてました。ひとつはバッフル上部に取り付けられたスプルース響棒の配置。それも縦目で配置するこだわりよう。ふたつ目はスピーカーユニット磁気回路部に装着する木材をチェリー材からメイプル材に変更して、形状修正と取り付け位置の最適化が行われています。
更に改良が施されたエンクロージャー内部とアークベース
振動対策も異素材金属の組み合わせで徹底的に実施
いくらスピーカーをチューンアップしても、とりつける器=エンクロージャーがしっかりしていないと、まとまりのない音になってしまうのは周知の事実。AR7の技術を受け継ぎつつ、さらに改良が施されてました。ひとつはバッフル上部に取り付けられたスプルース響棒の配置。それも縦目で配置するこだわりよう。ふたつ目はスピーカーユニット磁気回路部に装着する木材をチェリー材からメイプル材に変更して、形状修正と取り付け位置の最適化が行われています。

更に改良が施されたエンクロージャー内部とアークベース
改良されたのはスピーカーだけではありません。アンプもしっかりと振動対策がされていました。オーディオはよく「振動を制する者はオーディオを制す」と言われるくらい、振動対策には気を使いますよね。「EX-AR9」では異素材金属を組み合わせることで、共振が分散できることに着目。なんと「真ちゅうニッケルメッキワッシャ」「銅ワッシャ」「アルミワッシャ」3種類のワッシャを各ネジとの組み合わせで、振動を低減させてました。音のためにどんな細かいことにも手を抜かない姿勢、頭が下がります。ワタクシも見倣わなくては。
「EX-AR7」と「EX-AR9」はもう完全に別物だったのだ
チューンアップされたパーツの解説も終わり、一息つく暇もなく「EX-AR7」と「EX-AR9」の比較試聴へ突入です。曲はオフコース1979年の大ヒット曲「さよなら」。まずは「EX-AR7」から。小田和正様のクリスタルな中音域が会場に響き渡ります。繊細なリヴァーブのかかり具合も見事に表現されています。参加者のみなさんもこれには「うっとり」です。続いて「EX-AR9」をセッティング。音が出た瞬間、どよめきが(今回はどよめきの連発!)起こりました。「もう、終わりだね」の歌い出しだけで瞬時に「インストア ライブ会場」に変身。解像度が高く、音に広がりが出ているのです。それとリヴァーブはより繊細に聴こえています。「EX-AR7」で完成したかと思っていたのですが、もっと上の極みに到達したみたいです「EX-AR9」は……
「EX-AR9」は「ビクターダイレクト」限定販売モデル=一度は聴いてみる価値あり
というわけで、マスターを出し抜いたワタクシが(悔しがってるかな?むふふ)ここまで熱く語ってきましたが、「EX-AR9」は「ビクターダイレクト」の限定製品なんです。実物を見たり、触ったり、試聴したりは「JVCケンウッド丸の内ショールーム」までおいでください。「EX-AR9」はじめとしたウッドコーンオーディオシステムシリーズがあなたをお迎えいたしますよ。

もはや"作品"と呼びたい「EX-AR9」デス。