ヴォーカリストshihoと超絶技巧のギタリスト横田明紀男の二人組、フライド・プライドの新作タイトルは『エヴァーグリーン』。evergreen=「不朽の名作、永遠の名曲」ですね。たしかに、このずらり並んだカヴァー11曲、当店のお客さまならほとんどご存知、あるいは大好きという曲ばかりではありませんか。
収録曲を見てみると…
「アナザー・パート・オブ・ミー 」(マイケル・ジャクソン)
「ポプシクル・トーズ 」(マイケル・フランクス)
「パープル・ヘイズ 」(ジミ・ヘンドリックス)
「枯葉 」(ジャズ・スタンダード)
「ドクター・フィールグッド」 (モトリー・クルー)
「ソウル・シャドウズ 」(ザ・クルセイダーズ)
「アイル・ビー・ゼア 」(ジャクソン5)
「エヴリ・リトル・ステップ」 (ボビー・ブラウン)
「コルコヴァード 」(アントニオ・カルロス・ジョビン)
「恋のハプニング 」(チャカ・カーン)
「オール・バイ・マイセルフ」 (エリック・カルメン)
「ライフ・イズ・ライク・ア・ジャジー・リヴァー」 [NAKASU JAZZテーマ曲]
(「NAKASU JAZZ」とは、2009年から毎年、福岡市の中洲で行われているジャズ・ライヴ・イヴェントのこと。フライド・プライドは毎年出演。この曲はふたりによるオリジナル。)
ほんとバラバラ。ジャズ・スタンダードからロック、R&B、ボサ・ノヴァまで、驚いてしまうほどの広範囲。でも、「evergreen」と呼ぶのにふわさしい名曲ばかり。
フライド・プライドはこれまでたくさんのアルバムをリリースしてきていて、つまりたくさんの曲を演奏してきたわけだけど、今回の選曲は特別な企画によるもの。具体的な名前は書かれていないけれど、人気ラジオDJたちが、フライド・プライドにリクエストした曲を集めているという。アルバム・プロデュースのいちばんのキモは選曲ですよね。このいちばん難しく(でも楽しい)部分を「外の人」に委ねるわけだから、これはなかなか大胆な企画というもの。リクエストする側も、黙っていてもやってくれる曲であればわざわざリクエストしないわけだから、やっぱりハードルの高いものになりがちだし、結果としていつもとは違うところが出てくることになる。それがどう転ぶのか、普通なら作り手は悩む部分が多いはず。でもフライド・プライドのふたりはおおいに楽しみながら作っていたに違いない。だって出てきたのは実に新鮮かつフライド・プライドの音だったから。強力な個性そしてグループのスタイルの自信があるからこそ、のアルバム。また愛聴盤が1枚増えたなあ。