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2011年8月

ウェザー・リポート『ベスト・ライヴ・セレクション~ザ・ジャーマン・コンサーツ』

2011.07.20 VIZJ-12

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今回の紹介するアルバムは5枚のCDと1枚のDVDのセット。タイトルどおり、ウェザー・リポートのドイツでのライヴを集めたもので、CDには1975年、78年、83年の3回のステージが収められ、DVDはそれぞれのライヴから1曲ずつが映像で収録されている。グループを去来した主要メンバー、代表曲はほぼ網羅されており、この1セットでウェザー・リポートとはどういうグループだったのかを見渡すことができる。

ウェザー・リポートは71年に、ジョー・ザヴィヌル(キーボード)、ウェイン・ショーター(テナー&ソプラノ・サックス)、ミロスラフ・ヴィトウス(ベース)の3人を中心に結成されたジャズ・グループ。メンバー・チェンジを繰り返し、サウンドも大きく変化させながら、86年の『ディス・イズ・ディス』を最後に活動を停止するまでの15年間に渡り、常にジャズ界に新風を巻き起こし続けた。結成当時はザヴィヌル、ショーター、ヴィトウスの3人が対等リーダー、ヴィトウス脱退後はザヴィヌルとショーターがリーダーとなっていたが、振り返ると最初から最後まで実質ザヴィヌルのグループと言えるものだった。ザヴィヌルとショーターがマイルス・デイヴィス・グループ出身というキャリアからであろう、「ジャズ」にカテゴライズされるウェザー・リポートだが、そのサウンドは「いわゆるジャズ」の特徴的な部分は少なかったりもする。例えば、テーマ~アドリブ~テーマという構成のものはほとんどなく、そもそも即興のスペースが少なかったりもする。かといって書かれた曲をそのまま演奏している(のかもしれないが)ようには全く見えず、常に自由なスペースが広がっているという、何とも説明しがたいのである。まさにこれは「ウェザー・リポートの音楽」なのだ。

さて、ウェザー・リポートは、メンバーと音楽性をどんどん変化させてきたことがひとつの特徴なのだが、音楽的な大きな変化はベーシスト交代時期に重なっている。順番に見てみると、
1.ミロスラフ・ヴィトウス(71~74年)
2.アルフォンソ・ジョンソン(74~75年)
3.ジャコ・パストリアス(76~81年)
4.ヴィクター・ベイリー(82~86年)
となる。
今回紹介のセットは、ヴィトウス在籍時の音源は収録されていないが(冒頭に「ほぼ」と書いたのはそのため)、他の3人の在籍時のライヴ(3ステージ)が収録されているので、グループの音楽的変遷をはっきりと知ることができる。

ヴィトウス在籍時の最初期のウェザー・リポートは、即興重視のフリー・ジャズ的な側面も見せる、割と暗めの(?)アコースティック・グループだった。それがシンセサイザー(どんどん新しい楽器が開発されていた時代だ)や、ファンク・グルーヴの導入でいわゆるフュージョンに発展。ファースト・アルバムの頃とは別のバンドと言ってもいいぐらいだ。これによりそれまでジャズ・フィールドだけだった人気も一般的に拡大、世界中でツアーをするほどになった。〈CD-1〉はその時期、75年のライヴ音源。「スカーレット・ウーマン」「バディア/ブギウギ・ワルツ」はこの後もずっと演奏される主要レパートリーだ。

そして、ザヴィヌルは76年にジャコ・パストリアスを迎え入れる。その革命的なベース・プレイはウェザー・リポートのもうひとつの看板となり、またジャコは作曲面でもグループに大きく貢献する。〈CD-2〉〈CD-3〉はそのステージを収録したもの。「ブラック・マーケット」「バードランド」「ティーン・タウン」などの代表曲、ジャコのソロ・コーナーなど、まさに絶頂期のステージは必聴の名演ぞろい。〈CD-1〉の曲の再演もあり、聴き比べるとグループのサウンドの違いがよくわかる。

〈CD-4〉〈CD-5〉はジャコ脱退後の83年、グループとしては最後期のメンバーによる演奏。ジャコに比べるとヴィクター・ベイリーはとても地味なイメージがあるが、それはあくまで比較の上でのこと。超パワー・ドラマーのオマー・ハキムとのコンビネーションはジャコとはまた別の魅力がある。かつてのヒット曲はメドレーにまとめてコンパクトに演奏し、グループの新しい面を全面に押し出している。

〈DVD〉は3つのステージから各1曲の映像版。75年「ミステリアス・トラヴェラー」では、ショーターがピアノを弾いていた!なんてことがわかったりもする。「ティーン・タウン」のジャコの圧倒的なテクニックや「ペザント」でのオマー・ハキムのパーカッション・プレイなど、ウェザー・リポートはなかなか「見せる」グループでもあったのだ。(なお本CD+DVDセットの同音源映像版は同名の3DVDセットでリリース。VIBJ-27~29)

聴いて見て改めて感じるのは、ウェザー・リポートの編成は、クァルテット(または+パーカッション)なのに、なんとスケールの大きなサウンドなのかということ。シンセはたくさん積み上げられているが、出ている音はザヴィヌルの両手からだけ、なのにまるでオーケストラのような印象だ。結成して40年、活動停止して25年以上が経ち、ザヴィヌルもジャコもすでにこの世にいないが、ウェザー・リポートの音楽は永遠に新鮮だ。「伝説」じゃなくて、常に「今作られたばかり」の現役な感じ、なんだな。

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