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VICTOR JAZZ CAFE

2009年02月

エミリー・クレア・バーロウ 『ハヴント・ウィ・メット?』 2009年2月

2009.02.25 VICJ-61589

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Artist Review アーティストレビュー

カナダ・トロントを中心に活動、日本でも人気がすっかり定着したヴォーカリスト、エミリー・クレア・バーロウ。この最新アルバム『ハヴント・ウィ・メット』は、日本では4枚目のリリースとなるが、実際には彼女の7枚目のアルバムとなる。

06 年秋の日本デビュー盤『ライク・ア・ラヴァー』は4枚目のアルバムで、日本で昨年秋発売のクリスマス・アルバム『ウィンター・ワンダーランド』はカナダでは06年発表だったりと、日本のリリースだけを見ていると実際の活動をうまくつかめないかもしれない。日本ではまだまだ新人というイメージがあるかもしれないが、カナダではファースト・アルバム『SINGS』発表からすでに10年だから、着実にキャリアを積み重ねてきたというところ。また、『ライク・ア・ラヴァー』からはずっとセルフ・プロデュースで、さらにストリングスを含めたアレンジも全曲自身で行なっているという、豊かな才能を発揮し続けている実力派だ。

昨年秋の2度目の来日ライヴは連日大入り、本国でもたくさんのライヴを行なっている(彼女のサイトに詳細な案内がある)。今の彼女にはとても勢いがあるのだ。その原動力がこの最新作『ハヴント・ウィ・メット』。充実の1枚だ。

スタイルはジャズを中心にしているが、ボサ・ノヴァあり、ストリングスがバックのバラードやブルージーなものもあり、英語もフランス語(カナダの人ですから)もあったりと、とてもヴァラエティに富んだ内容なのだが、アルバムが始まると最後まで惹き付けられるのは、やはり彼女自身がプロデュース、アレンジまで手がけているところが大きいのだろう。自身の持ち味とその見せ方をよく心得ているのだ。

選曲も幅広く、ジャズのみならずさまざまなジャンルから名曲を掘り起こし、曲ごとに絶妙な緩急の変化を付けている。ジャズ・ドラマーの父親の影響もあって小さい頃から音楽に親しみ、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットまで習ってきたという環境からだろう、単に「ジャズを歌うヴォーカリスト」ではなく、「ジャズを演奏するヴォーカリスト」という感じかな。今回はピアノ、ギター、ベース、ドラムスを基本に、曲によってトランペットとテナー・サックスが加わる編成。数曲でストリングスが彩りを添えている。

これから紹介するように、詳細に聴くと実にヴァラエティに富んでいるいるんだけど、すんなりと続けて聴けてしまうところは、やはりいろんな部分の「うまさ」が積み重なった結果なのだろう。

TRACK LISTING
1. オール・アイ・ドゥ・イズ・ドリーム・オブ・ユー
これまで多くの人が歌ってきた有名スタンダード。ギター、ピアノ、ベースのトリオをバックに歌う。オープニングにしてはとても地味な感じだが、こういったオーソドックスなアレンジだからこそ、声が際立って聴こえるね。ギターの4ビート・カッティングも印象的だ。
2. セ・メルヴェイユ
1曲目のトリオに、ドラムスとストリングスをバックに加えてのワルツ。ストリングス・アレンジは彼女自身によるもの。
3. ユーア・ドライヴィング・ミー・クレイジー
一転、アップテンポで疾走する4ビートに。スキャットはないが、見事なフェイクを随所に聴かせる。ピアノやテナー・サックスもソロで大活躍。
4. カミン・ホーム・ベイビー
ハービー・マンの演奏で知られるブルージーなナンバー。ぐっとダークな雰囲気に変わる。
5. ハヴント・ウィ・メット?
シンガー・ソングライター、ケニー・ランキンの70年代の名曲をカヴァー。原曲もワルツでジャジーな感じだが、ここでは完全にジャズ・ワルツにアレンジ。フリューゲルホーンのソロが印象的だ。
6. アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー
ストリングスを全面に押し出したアレンジ。ミディアム・スローなテンポにストリングスが柔らかにからむ。ここはアレンジャーとしての見せ場でもあるのだな。
7. シェ・モア
ここでは明るく爽やかに、ミディアム・テンポでスキャットをたっぷり聴かせてくれる。1曲ごとに狙いがはっきりしている。
8. イズ・ユー・イズ・オア・イズ・ユー・エイント・マイ・ベイビー
ムードはまた一転。ルイ・ジョーダンのブルージーなナンバーへ。ベースだけをバックに歌っている。
9. こもれびの庭に
昨年2月に90歳で亡くなったフランスの大歌手、アンリ・サルバドールの名曲。ボサ・ノヴァの誕生にも影響を与えたと言われるサルバドールだが、ここでのアレンジはボサ・ノヴァ調で。
10. バイアーナがやってくる
ジョアン・ジルベルトのレパートリーとして知られているドリヴァル・カイミ作曲のボサ・ノヴァ。完全にボサ・ノヴァにしている。
11. ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?
またまた一転。アップテンポの軽快な歌と演奏。テナーがごきげん。
12. ユー・メイク・ミー・フィール・ソー・ヤング
フランク・シナトラの歌唱が有名なスタンダード。ミディアム・テンポのオーソドックスなアレンジで。
13. ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング
ジャズマンも多くとりあげる、ミシェル・ルグランの名曲。ムーディなストリングスだけをバックに、しっとりと歌い上げている。
14. ラップ・ユア・トラブルズ・イン・ドリームス
この曲は日本盤ボーナス・トラック。ピアノだけで小粋に歌っているのだが、これはライヴのアンコールの雰囲気。本来は前の曲で、アルバムはしっとりと終るんだろうけど、このアンコールがあると、最初からもう一度聴きたくなるからおもしろいね。
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