Jammin' Zebの最新作はクリスマス・アルバム。Jazz Cafeでは彼らのことをもう何度も紹介しているから、プロフィールなどはこちらを見ていただくことにして、さっそく内容の紹介をしていきましょう。
この季節になると新旧さまざまなクリスマス・アルバムが店頭に並ぶことになるけど、Jammin' Zebのようなジャズ・アレンジものに限らず、よいクリスマス・アルバムの条件ってなんだろうって考えてみたけど、これは思いつくもの全てが答えになるね。上手くてもいい、下手でもいい、オーソドックスでも奇抜であっても、聴く人が「よい」と思えばそれでいい。そういうものだと思う。でも、ひとつポイントがある。それは「華がある」ことだと、この『GIFT』を聴いて思いましたね。
まず聴いて感じるのは、Jammin Zebの歌声とイメージが、(世間一般の)華やかでわくわくするクリスマスのイメージにぴったりとハマっていること。聴いた瞬間に「ああ、クリスマスだなあ。もうすぐ年末かあ」って強烈に感じさせてくれるのね。パッと別世界に連れて行ってくれるのはすばらしい力だな。
多くのアーティスト(もちろん教会音楽アーティスト除く)にとって、クリスマス・アルバムは普段の作品と同列には並べられないものだから、そのアーティストらしさが強くないもの(つまり企画優先)も多いけど、この『GIFT』は違う。もちろん企画優先ではあるんだけど、Jammin'らしさはいつもより(?)全開だ。まだJammin'を聴いたことのない人には、最初の一枚としてお勧めしたいですね。全7曲中、アカペラが2曲、その他のバックはほとんどがピアノ・トリオというごくシンプルな編成なので、じっくりと「声」と「ハーモニー」を堪能できる。着実に活動を重ねて来ているだけに、これまでのアルバムよりも一回り余裕も感じられるしね。
なんといっても印象的なのは。1曲目の山下達郎の「クリスマス・イヴ」。今や日本で最も知られるクリスマス・ソングの定番です。Jammin'は英語で歌います。山下達郎自身も多重コーラスで録音しているけど、もちろんJammin'は自身のジャジーなスタイルで。そして、誰もが知っているクリスマス・ソングが並び、最後はレンセイの詞によるオリジナルの「ピース・オン・アース」。他のクリスマス・ソングと並んでもまったく違和感のない、平和を歌う美しい曲だ。これで一旦締め。つながりも気持ちよく、7曲があっという間だ。
「一旦締める」と書いたのは、最後にオマケがついているから。なんと「クリスマス・イヴ」のカラオケがついているのです。これはリード・パートのみを抜いたもの。つまりJammin'のコーラスをバックに歌えるというわけです。クリスマス企画アルバムならではのお楽しみだね。ゴージャスだなあ。この曲なら日本語でも歌えるというところもいいね。どうぞパーティーで盛り上がってください。
アルバムで気がついたことがひとつ。英語の歌詞はもちろん全曲載っているんだけど、全曲日本語対訳(「クリスマス・イヴ」は山下達郎の日本語歌詞)も掲載されています。クリスマス・ソングの日本語対訳ってあまり見たこたことがなかったので、ちょっと新鮮でした。例えば日本語詞がよく知られる「きよしこの夜」と、英語詞の「サイレント・ナイト」はずいぶんイメージが違うんだよね。余談でした。
では、よいクリスマスと年末を。 (当店は年中無休です)