Q126 ID jippoさんの質問 2015年3月2日
昔のビッグ・バンドも、今のスムース・ジャズも「ジャズ」って括られるけど、けっこう違う音楽ですよね? どこが同じなの?
jippoさん
いらっしゃいませ。
たとえば(ビッグバンド代表として)1930年代の「カウント・ベイシー・オーケストラ」と、(スムース・ジャズ代表として)2010年代の「フォープレイ」を例に考えてみます。まず、編成が違いますよね。人数は17人と4人。楽器にしても片や電気楽器無しと、ほとんど電気楽器です。音楽のリズムもベイシーは4ビート、フォープレイは16ビートが中心ですからずいぶん趣が異なりますね。ではなぜ同じ「ジャズ」なのか。今回は大枠だけを簡潔に説明します。
それは「歴史が繫がっている」から。ビッグバンドの音楽が少しずつ変化して、長い時間を経てスムース・ジャズが登場するに至ったということです。その変化には音楽的な要因のほか、ジャズをとりまくさまざまな環境の要因もあるでしょう。逆にいえば、ジャズは変化を許容する音楽、あるいは変化する音楽ともいえましょう。
今は演奏時期に80年の違いがあるビッグ・バンドとスムース・ジャズの両方の音を並べて聴けるので、違いが大きく感じられますが、たとえば10年刻みにみていけば、その変化の具合いも理由もよく見えてくると思います。ビッグバンドがその反動であるビ・バップに押され、またその反動でハード・バップが興り、さらにそこから…とジャズの歴史は変化の連続だったのです。その結果、長い時間を経てみたら大きく変わったものも登場していて「ジャズ」の範囲が拡大した、ということなんですね。
その一方、共通する要素も受け継がれています。例えばアドリブ(即興)・ソロ。ビッグバンドもスムース・ジャズもそのほとんどにアドリブ・ソロのパートがありますね。歴史をみれば「アドリブ・ソロがある音楽こそがジャズ」とは言いきれませんが、ジャズと呼ばれる音楽の重要な要素のひとつであることは間違いないでしょう。でもそれも今後どうなるかはわかりません。30年後にはまったく違う「ジャズ」が生まれているかもしれません。