Q91 ID takahashi1962 さんの質問 2012年4月4日
こないだネット通販でCDを買おうと思ったら、同じタイトルのCDが何枚もあるじゃないですか。値段も違うしメーカーが違うのもあったりする。どれを買えばいいのですか?
takahashi1962さん
いらっしゃいませ。
確かにタイトルもジャケット画像も同じものがたくさん並んでますよね。試しにビル・エヴァンスの人気アルバム『Waltz For Debby』をAmazonで検索してみました。このアルバムはエヴァンスが1961年にライヴ録音したもので、オリジナルのLPでは6曲が収録されていました。これが現在のCDでは、同じ6曲収録はもちろん10曲入り、11曲入り、さらに従来は別アルバムでリリースしていた音源も含めた同日のすべてのライヴ演奏を収めた[完全版]CD3枚組までありました。数えてみると……なんと25種類以上。これは迷いますよね。どこが違うのか調べてみました。
違う要素はというと、まずフォーマット。CD、SACD、アナログLPがありました。前にはDVD-Audioが出ていたこともあります。以下、CDだけで見ていきます。
【マスターテープ】
オリジナル・アナログ・マスターテープからのCD化はもちろんありますが、その経年劣化を考え、あえて昔のコピーテープを使用しているものもあります。
【マスタリング】
今や常識となりましたが、マスタリングが違うと音質が大きく異なります。またデジタル機材の進歩は著しく、そのプロセスも変わってきています。ノウハウも蓄積されてくるので、新しいマスタリングのものの方がよさそうですが、オリジナルからは離れてしまうという見方もできなくはないですね。
【盤の素材】
CDというフォーマットは同じでも、信号記録面がアルミではなく金を使ったGold CDや、盤素材が違うSHM-CDのものがあります。
【パッケージ】
まったく同じ内容でもプラケースと紙ジャケットのものがあったりします。
これにさらに収録曲順が違うもの(当然マスタリングが異なる)、ボーナストラックの有無という要素まで加わるので、とてもたくさんの数になるというわけですね。
ではいったいどれを選べばいいのか。マスターとしては、内容的には一番最初に出されたオリジナル・フォーマットが、アーティストとプロデューサーの意向がもっとも反映されているものだと思うので、まずはなるべくそれに近いものをお勧めします。そしてその上で、ボーナス・トラックや曲順違い(実際のライヴ録音順に変えているものがある)を楽しむのがよろしいのではないでしょうか。とはいえ、今では10曲入りが標準のようで、オリジナルと同じ6曲入りのCDの方が少ないというのが実情。また、アルバムではなく1曲ずつダウンロードで買える時代でもありますし、そのデータもCDを超えるハイ・ビットだったりと、パッケージとは無縁の聴き方も特別なものではなくなってきつつあります。そろそろ考えを改めなくてはならない時期かもしれませんね。