jfgkw058さん、いらっしゃいませ。オーディオの質問も大歓迎です。
(ビクターのジャズカフェですから)なんか宣伝くさく聞こえるかもしれませんが、質問の答は「ある」です。
ジャズに限ったことではありませんが、良質のオーディオ機器は音楽をより楽しませてくれます。そもそもオーディオ機器の「良質」って何かと考えてみると、まず第一に、CDやLPなどのソースに入っている情報を忠実に伝達することだと思います。逆に言うと、よくないオーディオ機器はそこに欠落があるということ。せっかくの演奏(を収めたCDなどに含まれる情報)が、きちんと伝達(再生)されなければ、ミュージシャンや制作者の努力も報われないですよね。
もちろん、ある程度音楽を聴いてきている人なら、音質は悪くても演奏の良し悪しはわかります。チャーリー・パーカーのすごさは、どんなにノイズに埋もれていても伝わってきます。でもそれがもっと良質の音だったら、もっとすごい印象になるでしょう。
オーディオをグレードアップすれば、極端な言い方をすると「それまで聴こえていなかった音が聴こえる」わけですから、場合によっては演奏の印象は大きく変わります。例えば、スピーカーを替えたら今まではドラムの音に隠れてしまっていたベースの音がよく聴こえるとか、濁っていたギターの音がはっきりするなんてことはよくあることです。まあ、一度新しいスピーカー、そうだな、ビクターのウッドコーン(宣伝です…笑)にでも替えてみればきっと気がつくことがあると思います。
例えば(アナログ)ビデオとDVDを比べると画質の違いは明らかですよね。もうビデオには戻れない。音でも同じです。一度良質の音を聴いてしまうと戻れないですよ。最近は音質より利便性を優先させるオーディオ機器が多いですが、ジャズ・ファンならまずは音質に気をつかってもいいんじゃないかな。きっとそれだけのものが返ってきます。
そうは言っても、オーディオ機器を替えるのはそうそう頻繁にはできませんよね。でもスピーカーの置く場所を変えてみるとか、ヘッドホンの耳に突っ込む角度を変えてみるとかするだけでも、出てくる音はけっこう変わるものです。少しでも「良質」になるように、まずは現状システムで工夫してみるのはいかがでしょう。聴き慣れたCDからあっと驚く音が聴こえてくるかもしれません。一度驚くようなことがあると、持っているCDをすべて聴き直したくなる気持ちになりますよ。良質の音には、よりたくさんの情報があるわけですから、音楽への理解も深まるに違いありません。
有名なビル・エヴァンスのライヴ盤『ワルツ・フォー・デビイ』の、有名じゃない話ですが、これが録音されたジャズ・クラブは地下にあるため、演奏中に地下鉄の通過音も収録されて(しまって)いるそうです。ただし良質のオーディオでなければ聴こえないので、オーディオ・システムのチェックに使う人もいるくらいですが、そんな音が聴こえるなら、きっとピアノの音も余すところなく再生されていることでしょう。なんて考えると、終わりのない追究になりそうですが、作品を最大限に楽しむためには(ある程度)良質のオーディオは絶対に必要なのです。まあ、地下鉄は雑音だから聴こえない方がいいという意見もありますが…。
とりとめない展開になってしまいましたが、めいっぱい音楽を楽しもうと思うのなら、ぜひ「良質の音」で聴いてほしいということ。そこそこジャズを聴いてきた人なら、悪い音で10枚聴くより、いい音で1枚を10回聴く方がいろんな発見があるかも(?)。
「良質」からその上の「マニア」レベルまでいくと、また違う方向になってくるので、それは別の機会に。