little_bustersさん、いらっしゃいませ。
ウキウキする春。ジャズ聴いて、もっとウキウキしたいですよね。春に限らず、ジャズ・スタンダードの「季節もの」はけっこうあるんですけど、調べてみると「春の曲・歌」は必ずしもウキウキではないようで...。
最初のお勧めは、クリフォード・ブラウン作曲の「ジョイ・スプリング」。この明るく躍動的なメロディはまさにウキウキだね(『クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ』収録)。これはもともとはインスト(歌詞無し)だけど、後にジョン・ヘンドリックス歌詞を付けて「シング・ジョイ・スプリング」というタイトルでマンハッタン・トランスファーが歌っている。タイトルどおり春が来たのを喜ぶ内容だ。
「エイプリル・イン・パリ(パリの四月)」も楽しいね。たくさんの人が演奏しているけど、中でもカウント・ベイシー・オーケストラの『エイプリル・イン・パリ』は特にごきげんだ。一旦終ったところで、「ワン・モア・タイム!」と言ってエンディングを繰り返すのはよく知られているね。ヴォーカルではサラ・ヴォーンが『ウィズ・クリフォード・ブラウン』でしっとりとバラードで歌っていて、ウキウキではないけど、いい感じ。
「スウィング・スプリング」はマイルス・デイヴィスの曲らしからぬ明るさ。『マイルス・デイヴィス・アンド・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』に収録。気持ちよく軽快な演奏だ。
トランペットのフレディ・ハバード作曲「アップ・ジャンプト・スプリング(Up Jumped Spring)」も強くお勧め。軽快なジャズ・ワルツで、「ウキウキ」という言葉にふさわしいイメージ。フレディ自身の演奏は『バックラッシュ』やジャズ・メッセンジャーズの『スリー・ブラインド・マイス』で聴ける。カヴァーもたいへん多い名曲。あれ、なんかトランペット関連が多いな。
「アイル・リメンバー・エイプリル(四月の想い出)」は、インストではアップテンポでノリノリで演奏されることが多い曲だけど、実は歌詞の内容は「恋人と楽しく過ごした4月を思い出す=失恋」なので、ヴォーカルとインストではかなり違う表情がある曲だね。
ミシェル・ルグラン作曲「ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング」。ビル・エヴァンスの同名アルバムの演奏がとても有名だ。「(今は良くなくても)季節は変わっていく。春を信じるんだ」といった歌詞。これもウキウキではないなあ。グッとくる演奏だけどね。
「スプリング・イズ・ヒア」も、インストではわからないけど(当然)、「春が来た」ではなく、「春なのに...」という内容。どんどん続けると、バラードの「スプリング・キャン・リアリー・ハング・ユー・アップ・ザ・モスト」は「春が来たのに」という邦題がついているくらいなので、内容は推して知るべし。いずれもよく知られる春の曲だけど、だんだんウキウキしなくなってきちゃったな。あ、そうだ、「イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スプリング(春の如く)」という気持ちのいい曲がある...、と思ったら実は春の歌ではなく、これは「春が来たみたい」という歌でした。
うーん...質問の答えになったかなあ。もしかしてジャズマン(トランペッター以外)にとっては春は暗い季節なのかな? これだからジャズって、おもしろいね(?)。
そうそう、気に入った曲があったら、ぜひいろんなヴァージョンで聴き比べてみてください。曲名から収録アルバムを調べる方法はQ50で紹介しています。