zuraraさん、いらっしゃいませ。いつもご来店ありがとうございます。
ご質問のアルバムご用意しておきましたよ。
聴く前にまず、ジャズとミュージカルの関係をちょっとお話しておきましょう。ジャズ・スタンダードは、もともとミュージカルの曲が多いですよね。1920年代から60年代のジャズマンたちは多くのミュージカル曲をとり上げました。ブロードウェイ華やかりし頃ですから、今の言葉でいえば「最新ポップス・ヒットをジャズでカヴァー」ということですね。それらの中でずっと愛奏され続けられてきたものが、後にスタンダードとして認知されるようになりました。
そんなわけで『ジャズ・スタンダード集』は特に「ミュージカル曲集」と謳っていなくても人気ミュージカル作曲家、たとえばコール・ポーターやリチャード・ロジャース、ジョージ・ガーシュウィンの作品が必ずと言っていいほど入っています。『コール・ポーター・ソングブック』といった類いのアルバムもたくさんありますね。
もともとミュージカルでは1作品中で多くの曲が使われていますが、ジャズでとり上げられる場合は「ミュージカル作品単位」でくくられることは少なく、ほとんどが「曲単位」です。ご質問の「ミュージカル主体のアルバム」は「作品単位」を指しているのですね。たとえば『サウンド・オブ・ミュージック』であればメイン・テーマに始まって、挿入歌の「私のお気に入り」「エーデルワイス」「ドレミの歌」...と聴けるというようなもの。ミュージカルお好きなんですね。
はい、お持ちしました。ご希望のピアノもので探してみましたが、ソロ・ピアノ(ピアノ独奏)は見つからなかったので、トリオですが。
まずは、『マイ・フェア・レディ』。
作曲はフレデリック・ロウ。メンバーはシェリー・マン(ドラムス)、アンドレ・プレヴィン(ピアノ)、リロイ・ヴィネガー(ベース)。リーダーはドラムのシェリー・マンだけど、いわゆるピアノ・トリオです。プレヴィンは今やクラシックの指揮者としての方が有名だけど、端正なタッチのジャズ・ピアニストでもあるんだ。「教会に間に合うように行ってくれ」「きみ住む街で」「アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス」「一晩中踊れたら」など『マイ・フェア・レディ』の曲だけが演奏されています。
もう1枚はオスカー・ピーターソン(ピアノ)トリオの『ウエスト・サイド・ストーリー 』。
「何か起こりそう」「恋は永遠に」「ジェット・ソング」「トゥナイト」「マリア」などレナード・バーンスタインによる『ウエスト・サイド』の名曲がずらり。レイ・ブラウンのベースとエド・シグペンのドラムスというメンバーも最高です。
どちらも、ミュージカル作品を知っていればより楽しめるアルバムです。元の曲との聞き比べも楽しいですよね。いかがですか。
では、またのご来店お待ちしています。