Q8. ID:himawari-sanさんの質問 2007年3月16日
最近、ジャズ・ピアノを練習し始めました。いわゆる電子ピアノで練習してますが、ジャズのピアノって電子ピアノでは邪道なのですか? これはこれでなかなかいい感じだとも思うのですが、モダン・ジャズではあまり見かけない気がします。電子ピアノでいわゆるモダン・ジャズを演奏しているアルバムがありましたら教えてください。
himawari-sanさん
いらっしゃいませ。
なかなかいいところに目をつけましたね。電子ピアノなどのアコースティック・ピアノではないピアノは「エレピ」の略称で呼ばれますが、モダン・ジャズでもたくさんあります。 そこで使われている多くは「フェンダー・ローズ・エレクトリック・ピアノ」(正確には「電気」ピアノですね)というもので、1970年代の初頭に発明された楽器です。原理的には弦の代わりに音叉を叩いて発音するもので、打弦構造はピアノと同様なので、強弱がきちんと音に反映されます。独特の澄んだ音はアコースティックなサウンドにもよくなじみ、発明されてすぐモダン・ジャズでも使われました。

『ザ・ビル・エヴァンス・アルバム/ビル・エヴァンス』
(ソニーレコード)
モダン・ジャズ・ピアノの代表的プレイヤーのビル・エヴァンスはもっとも早く使い始めたひとり。あまり知られていませんが、多くの「エレピ」アルバムをリリースしていました。
お勧めは『ビル・エヴァンス・アルバム』。ローズが出てすぐの頃、1971年の録音です。あの名曲「ワルツ・フォー・デビイ」もエレピでプレイしています。曲中でアコースティック・ピアノと両方弾きますが、まったく違和感なくマッチしています。また不思議なことにローズでもビル・エヴァンスだとわかる音です。プレイヤーの微細なタッチがちゃんと反映される、性能のよい楽器ということなんですね。
その後も『フロム・レフト・トゥ・ライト』では、右手でエレピ、左手でアコースティックを同時に弾いたり、『インチュイション』ではエレピにエフェクターをかけて、音が左右に飛び回る効果を出したりもしています。エヴァンスらしからぬイメージですが、けっこう好きだったようですね。

『ナイト・チャイルド/オスカー・ピーターソン』
(OJC/海外盤)
大物オスカー・ピーターソンも使っていました。かなり前にデジタル・ピアノ(アコースティック・ピアノの音が出る電子ピアノ)のCMに出演していたこともありますが、『ナイト・チャイルド』(79年)では、フェンダー・ローズをばりばり弾きまくっています。他にもハンプトン・ホーズら多くのモダン・ジャズ・プレイヤーが録音を残しています。
確かに最近ではモダン・ジャズの分野で使われることは少なくなりましたが、逆にまた新鮮に聴こえますね。
どうぞ練習がんばってくださいね。マスターもhimawari-sanの演奏を一度 聴いてみたいな。