samidareさん、いらっしゃいませ。
ベースの「ボン・ボン・ボン・ボン」(わかりますよね?)って、まさにジャズの特徴ですよね。そういえば呼び名は意外に知られていないかも。
まず、ジャズの基本のビートは4拍子。これは「フォー(4)・ビート」と呼ばれています。そして「ボン・ボン・ボン・ボン」とひたすら4分音符を刻むベースは、テンポがゆっくりの場合は「ウォーキング(・ベース)」と呼ばれます。歩いてるみたいに感じませんか。速いのは「ランニング」と言われますが、テンポの違いだけで奏法としては同じです(速さに関わらずどちらの名称も使われます)。ランニングの音はなめらかに繋がっているので、そのフレイズを「ベース・ライン」と言います。ベーシストは(セオリーに基づいて)即興でコード進行に合わせて音を組み合せてウォーキングするので、当然ベース・ラインは同じ曲でもプレイヤーによって全く異なるものになります。ベーシストは常にソロをしているようなものなのです。
そしてウォーキング・ベースと共に演奏しているのがドラムス。シンバルを「チーチキ・チーチキ」とか「ツーンツク・ツーンツク」といった感じで叩きます。この奏法は「シンバル・レガート」と呼ばれます。4拍子ですが、4拍均等には叩きません。ですからエイト・ビート(ロック)と違って正確にリズム刻むという役割よりは、リズムの流れを作るという感じですね。そこに2拍4拍にハイハット(ペダルで開閉させるシンバル2枚1組)が「ンチャ・ンチャ」と入るのが4ビート・ジャズの基本パターンです。モダン・ジャズ以前ではベース・ドラム(バス・ドラム)が4拍打ちで基本リズムを打ち出していましたが、40年代半ばのビ・バップ出現以降は、高速テンポへの対応と自由度の拡大からこれが主流となりました。その上で、スネア・ドラムとベース・ドラムで「スタタ...」「ドス・ドス」などとアクセントを付けていくわけです。
ただし、これらはあくまで基本で、プレイヤーによってさまざまにアレンジされます。例えばトニー・ウィリアムスはハイハットを(2拍4拍ではなく)4拍全部で踏みますし、スティーヴ・ガッドのシンバル・レガートは4拍均等に「ツン・ツン・ツン・ツン」と叩きます。これからも新しい奏法が出てくるかもしれません。
楽器や演奏法の知識があれば、ジャズがきっともっとおもしろく聴けると思いますよ。