
「フォー・ブラザーズ」その1
『Blowin’Up a Storm: The Columbia Years 1945-47/ウディ・ハーマン』
すばらしい4人のソロ競演
時代の変化を見据えて、つねに斬新なアレンジでビッグバンド界を引っ張ったウディ・ハーマン・オーケストラ。その看板曲のひとつが「フォー・ブラザーズ」。1947年からの、いわゆる第2期バンドでの演奏がオリジナルなのだが、このサックス・セクションがすごいのだ。ズート・シムズ、ハービー・スチュワード、スタン・ゲッツという3人のテナーとサージ・チャロフのバリトン。どうしてアルトがいないのか?と気づいたあなたは正統派ビッグバンド・ファン。この時期のハーマン・バンドはアルトなしでサックス・セクションを組むというユニークな編成なのでした。
そしてこの4人を大フィーチャーしたのが「フォー・ブラザーズ」。典型的なビ・バップのフレイズを並べたようなテーマ・メロディ(1947年の録音だから、ビ・バップは当時最先端のスタイル)の息の合ったアンサンブルがまず気持ちいい。そして4人が順番にソロをとるのだが、それがすばらしい。4人のソロはそれぞれ個性的だけれど、どれもまるであらかじめ書かれていたかのような、歌のようなフレイズの連続。サックス4人の魅力を存分に聴かせようという、作曲とアレンジのジミー・ジュフリーの狙いも明確だが、それに応えた4人もすごい。サックス・ファン、ビ・バップ・ファン、ビッグバンド・ファンいずれも必聴の名演ですよ。
写真1:『Blowin’Up a Storm: The Columbia Years 1945-47/ウディ・ハーマン』(Columbia)