「ステラ・バイ・スターライト」その2
『With Strings: The Master Takes/チャーリー・パーカー』
アドリブがなくてもすばらしい「ジャズ」
チャーリー・パーカーは「ウィズ・ストリングス」(弦楽オケとの共演)が好きらしく、何度も録音しているが、ここで紹介するのは1952年録音の1曲。メロディに装飾音符をたっぷりとまぶし、ゆったり悠々と歌うパーカーのアルト・サックスはほんとうにすばらしい。バックのストリングスは当然のことながら、パーカーの演奏にその場で直接反応することはない。いわば「カラオケ」のようなものだから、パーカーの立ち位置はいつものビ・バップ・コンボとは正反対。さらに、いわゆるアドリブ・パートもなくテーマのメロディを吹いているだけ。しかもブリッジ部分はオケが担当、後テーマも最後の16小節だけと、わずか2分56秒のトラックのパーカーの登場部分はその半分くらいだけど、それでもその存在感は強烈だ。音が濃いね。
写真2:『With Strings: The Master Takes/チャーリー・パーカー』(Verve)