
「バード・オブ・パラダイス」その1
『Charlie Parker Story On Dial vol.2/チャーリー・パーカー』
メロディの無い名曲(?)
今月の名曲は「バード・オブ・パラダイス」。おいおい、それって名「曲」なのか?とつぶやいたあなたはかなりのジャズ通ですね。オリジナルはチャーリー・パーカー(アルト・サックス)。実はこの「バード・オブ・パラダイス」は「曲」なんだけどメロディがないんです。イントロとアウトロはあるけれど普通の曲のようなテーマのメロディが存在しない。イントロの後に始まるのはいきなりアドリブです。ならばそのイントロが「テーマ」であるという解釈もできるけど、この曲が録音された過程を見ると、それは正しいとは言えない。イントロとアウトロは、有名なスタンダード「オール・ザ・シングス・ユー・アー」(ジェローム・カーン作曲)の、今では定番になっているもの(これがパーカーのオリジナルなのかどうかは調べがついていない。ゴメンなさい)。乗ってるコード進行も「オール・ザ・シングス~」と同じ。つまり「バード・オブ~」はテーマだけを省略した「オール・ザ・シングス~」なのね。実はパーカーは同じセッションで「オール・ザ・シングス~」も吹いている。では何故? その理由は次項で。それにしてもこの演奏はすばらしい。いきなり始まるアドリブに、ビ・バッパーの気合いを感じるね。ゆったりしたテンポなのに、このスピード感はまさにパーカーならではのもの。(「完全版」CDには「バード・オブ~」2テイクと「オール・ザ・シングス~」も収録)。写真1:『Charlie Parker Story On Dial vol.2/チャーリー・パーカー』(Dial)