「枯葉」 - Autumn Leaves - その3
『Standard Time Vol.1/ウィントン・マルサリス』
枯れてない「枯葉」
「枯葉」の原タイトルは「Les Feuilles mortes 」。1940年代半ばにフランスの映画音楽家ジョセフ・コスマが作曲。映画で使われるなどした後、ジュリエット・グレコが歌ってシャンソンの名曲として広く知られるようになりました。その後英語歌詞が付き(タイトルは「Autumn Leaves」)、50年代半ばにはアメリカでもポピュラー・ヒット。日本でもよく知られていますね。このように「枯葉」はジャンルを超えたスタンダード曲なので、後の時代になればなるほど突出した演奏というのは難しいですよね。ジャズだけでも何百もの演奏が世に出ているわけですから。そんな有名曲に「オレのやり方はどうだ!」と言わんばかりに敢然と立ち向かったのが、若きウィントン・マルサリス(トランペット)でした。80年代、その超絶的な技術でジャズ界に新風を巻き起こしていたマルサリスの、スタンダード集の最初の1枚で「枯葉」をやってます(1986年録音)。この演奏にはそれまでの誰とも違う勢いがあるね。まずアレンジがおもしろい。ちょっと細かい話だけど、テーマの1小節ごとのビートが増えていくのね。最初は1小節に1拍、次の小節が2拍、そして3拍、4拍と増えていく。で、サビからは急速でぶっとばしていくんです。バックのメンバーも若くて強い。ぜんぜん枯れてない瑞々しい葉っぱ。でも、もう四半世紀も前か…。今なら「枯れ葉」をやるのかな。
写真3:『Standard Time Vol.1/ウィントン・マルサリス』(Sony)