「枯葉」 - Autumn Leaves - その2
『Portrait In Jazz/ビル・エヴァンス』
テイク違いの2ヴァージョンが楽しめる
「枯葉」は、ジャズでは1958年のマイルスの演奏(この項その1)がダントツで有名ですが、きっとその次に来るのがこのビル・エヴァンス(ピアノ)の1959年の演奏。縁の下からフロントに進出してベース・スタイルに革命を起こしたスコット・ラファロとビシバシ張り合うという、エヴァンス・トリオのスタイルを確立した名盤です。「枯葉」ではテーマの後、いきなりベース・ソロが来るのも熱くてかっこいい。クールなマイルスとはぜんぜん違うアプローチなんだな。ところでなぜかこの曲はステレオとモノラルの2ヴァージョンが収録されているんだけど、これはモノ・ステの違いだけじゃなくて「テイク違い」。テイクというのは演奏の回数のこと(3回演奏するとそれぞれテイク1、テイク2、テイク3と呼ぶ)。ふつうは当然よい方のテイクだけを入れるものだけど、最初のリリース当時(モノ、ステ両方のLPが出ていた時代)、「枯葉」だけモノ盤とステ盤で収録テイクが違っていたんですね。で、後にステ盤が主流になった時に、モノ盤のテイクも追加して入れたというわけですが、実は録音時の選択はモノラルがベスト・テイクだったとのこと。じゃあなんでステレオの方には違うテイクを入れたのかというと、そのベスト・テイクの録音時だけステレオ用のレコーダーが故障してたから。逆だったら何とかなったんだろうけど。でもどちらもすばらしいから、今では得した気分だね。
写真2:『Portrait In Jazz/ビル・エヴァンス』(Riverside)